(2)東京15区 豊洲市場問題、選挙戦にどう影響…国政と都政の狭間で揺れる候補

衆院選・激戦区を歩く
豊洲市場(本社チャーターヘリから、納冨康撮影)

 小池百合子知事(希望の党代表)が市場移転問題で打ち出した「市場両立案」で揺れる豊洲市場(江東区)がある東京15区では、希望や自民党の前職ら4人が火花を散らす。希望陣営は市場問題に力点を置かないのに対し、自民陣営は移転時期が決まっていない状況などを批判する。国政と都政のはざまで揺れる候補たちの事情が垣間見える選挙戦になっている。

 「江東区民からは小池さんが下した判断は称賛すべきものとは思われていない。難しい問題だ」。希望前職の柿沢未途氏(46)は取材に対して胸中を吐露した。

 小池氏は昨年8月に移転延期を表明し、今年6月に豊洲移転・築地再開発の市場両立案を提唱。豊洲地区の地元住民や江東区議会からは、都が整備を約束してきた豊洲市場の観光拠点「千客万来施設」と、築地再開発の施設が共倒れになる懸念が出ている。都と市場団体との調整もまとまっておらず、移転時期は決まっていない。

 柿沢氏は選挙戦の訴えでは市場問題に力点を置かないとしており、10日の出陣式では「増税より政治家改革」などと身を切る改革を強調。自民側からは、みんなの党、民進党などと所属政党が変わってきたことに対する批判が上がるが、「個人攻撃をはねのけ、皆さんのお力で勝利を勝ち取ろうではありませんか」と訴えた。

 自民前職の秋元司氏(46)は過去2回の選挙で柿沢氏相手に苦杯をなめ、比例復活してきた。江東区では夏の都議選で都民ファーストの会の候補がトップ当選。自民は重点地区に位置づけ、菅義偉官房長官も応援に入った。

 自民は豊洲移転推進の立場だが、市場両立案を疑問視。11日の門前仲町の街頭演説で秋元氏が災害対策の重要性などを訴える一方、地元選出の山崎一輝都議が「市場問題はいっこうに決まらない。小池氏は二足のわらじをはいて無責任だ」と批判を展開した。

 陣営内では衆院選の勝利で豊洲移転を進めていきたいとの声もあり、ベテラン区議は「地元区で自民候補が勝たなければ都側に地元の声が伝わらない。しっかり勝つ」と意気込む。

 共産党は豊洲市場の土壌汚染を問題視し、都議選などで移転中止と築地市場再整備を訴えてきた。共産新人の吉田年男氏(69)は移転に反対し、豊洲市場を物流センターなどとして活用するという考えを持つが、街頭演説では安倍晋三首相の憲法改正の方針と消費増税について反対する主張に時間を割いている。

 「演説に要素を盛り込みすぎると長引いて、聴衆が帰ってしまう。訴えは国政に絞る」。こう説明した。