小池百合子知事「豊洲市場への移転を着実に行っていく」 都議会臨時会、豊洲追加対策工事費などの補正予算案を可決

豊洲市場問題
都議会臨時会後、記者の質問に答える東京都の小池百合子知事=5日午後、都庁

 築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で都議会臨時会は5日、豊洲市場の追加土壌汚染対策工事費や、築地再開発の検討費など移転関連費用として、今年度と来年度分の計73億円の予算案を小池百合子都知事が特別顧問を務める最大会派の地域政党「都民ファーストの会」や公明党、自民党などの賛成多数で可決し閉会した。

 小池氏の移転延期表明から1年以上が経過し、豊洲移転や築地跡地での2020年東京五輪・パラリンピックの準備が本格化する。

 小池氏は臨時会閉会後、報道陣に「多数のご賛同を得て予算をお認めいただいた。豊洲市場への移転を着実に行っていく」と述べた。さらに風評被害払拭に向けて、9日に開催する都民向けの豊洲市場見学会を視察することを明らかにした。また、都議会はこの日、北朝鮮による核実験に対する抗議決議を全会一致で採決した。

 ■工期、千客万来…なお課題

 移転問題は関連予算案が可決し、移転に向けて具体的な作業が本格化する。しかし豊洲市場の追加対策工事のスケジュールが「綱渡り」(都幹部)である上、移転に向けた業界側との調整も難航が予想される。移転条件と位置づけられる豊洲市場の観光拠点「千客万来施設」整備から「万葉倶楽部」(神奈川県)が撤退も検討しており、課題は少なくない。

 「予算案可決の安堵(あんど)感はない。これから実務的に作業日程を詰め、課題解決に取り組む」。都幹部は胸中をこう吐露した。

 都は来年6月までに追加対策工事の実施、専門家会議の検証などを終えた上で早ければ来秋に移転する構想を描く。だが小池百合子知事の入札制度改革で大型工事の入札参加業者が1者だけの「1者入札」は再入札となるため、「工事着手まで時間がかかる可能性がある」(都関係者)。

 建物の地下空洞の底をコンクリートで覆うなどする追加対策工事も、構造上から難易度が高いとされる。約6カ月の工期も最短で想定しており、庁内では遅れを懸念する声がある。

 業界団体側が要望する小池氏の「豊洲市場の安全宣言」も焦点。小池氏は追加対策や情報発信強化などを強調するにとどめ、同宣言を求める自民党の付帯決議案は「都民ファーストの会」や公明党などの反対で否決された。都幹部は「業界との調整が難しくなるのでは」と気をもむ。

 移転後の築地跡地の再開発も火種を抱える。万葉倶楽部は再開発で千客万来施設の整備事業の採算が取れなくなる可能性があるとして都側に詳細な説明を要求し、撤退も検討する。

 江東区は同施設整備などを条件に市場受け入れを決定。同社撤退の場合、都が事業者を改めて募集するなどの対応が想定されるが、都関係者は「江東区は反発し、移転スケジュールにも影響が出る」と指摘する。