九州豪雨でも災害支援、急患輸送では殉職も 知られざる自衛隊の活動

防衛最前線(131)
豪雨被害で孤立した大分県日田市鶴河内地区へ物資を空輸する陸上自衛隊の輸送ヘリ=7月11日

 九州北部の豪雨災害を受け、災害派遣で出動した自衛隊が被災地で救援活動にあたっている。約4000人態勢(7月18日現在)で警察や消防とともに行方不明者を捜索したり、被災者への入浴、給水といった支援活動を行っている。

 平成27年1月に内閣府が行った定期世論調査では「自衛隊に良い印象を持っている」との回答が過去最高の92・2%を記録した。こうした国民の自衛隊に対する信頼感は、東日本大震災をはじめとする災害時の活躍が評価されているのは間違いないが、自衛隊の災害派遣については、あまり知られていないことも多い。

 災害派遣は、自衛隊にとって最優先の仕事ではない。自衛隊法では「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、わが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と規定している。「主たる任務」は外敵の侵略を防ぎ、日本を守ることであり、災害派遣は「従たる任務」という位置付けだ。

 災害対応の主役は地方自治体や警察、消防であり、自衛隊はサポート役というのが本来の姿だ。仮に日本が外敵から攻撃を受けた場合、自衛隊は外敵と戦い、排除することが最優先の任務となる。

 自衛隊の災害派遣を派遣人員ベース(延べ)でみると、東日本大震災のあった23年度は約1070万人と突出して高い。以降は24年度1万2410人▽25年度8万9049人▽26年度6万6267人▽27年度3万35人-と推移し、熊本地震のあった28年度は約85万人だった。

 一方、実施件数をみると、24年度520件▽25年度555件▽26年度521件▽27年度541件▽28年度516件-と推移している。実は件数ベースでみた場合、医療インフラの乏しい離島や遠隔地での「急患輸送」が7~8割を占めている。とりわけ島嶼地域を含む沖縄、長崎、鹿児島からの要請が多くを占める。

 急患輸送は自治体のドクターヘリも行っているが、「夜間や気象条件が悪い時ほど自衛隊に依頼が来る」(陸上自衛隊幹部)という命がけの任務だ。今年5月には北海道函館市で急患を迎えに飛行中だった陸自機が墜落して隊員4人が亡くなった。19年3月にも鹿児島県の徳之島で陸自ヘリが墜落して4人が殉職した。2年2月にも沖縄県の宮古島近海の事故で、医師を含む4人が亡くなっている。

 風水害や地震、急患輸送以外では、火災の「消火支援」で派遣されることもある。28年では新潟県糸魚川市中心部の大規模火災など57件。山岳遭難や航空機・船舶の事故に際しての「捜索救助」も28年度で25件あった。

 このほか災害派遣には含まれないが、不発弾処理も自衛隊にしかできない民生支援の一つといえる。終戦から70年以上を経た今でも、工事現場などで不発弾が発見され続けており、全国4カ所に置かれた専門部隊による処理件数は28年度で1379件、処理重量は42・1トンに及んだ。(政治部 千葉倫之)