安倍晋三首相、日米陣営に引き寄せ狙う 「首脳会談は成功だ」

暴言大統領
夕食会に臨む安倍首相(中央)とフィリピンのドゥテルテ大統領=26日夜、首相官邸(代表撮影)

 反米的で中国寄りの姿勢を見せるフィリピンのドゥテルテ大統領との首脳会談は、安倍晋三首相にとって慎重さを求められる会談だった。ドゥテルテ氏の対応を誤れば反日にも転じかねず、そうなれば中国を喜ばせるだけだからだ。日本政府は“暴言大統領”の異名をとるドゥテルテ氏の言動を警戒しつつも、日米陣営への引き寄せを狙った。

 首脳会談の冒頭発言は短いのが通例だが、この日は違った。安倍首相は「大統領の初来日を心から歓迎する。日比関係を飛躍的に発展させたい」などと1分足らずだったが、ドゥテルテ氏が通訳を交えず約5分にわたってぶっ続けで話し始めたからだ。

 ドゥテルテ氏は南シナ海問題を切り出し、「日本とフィリピンは同じような状況にある」「われわれは常に日本側に立つ」とそれぞれ2度も繰り返した。中国に関して「プレーヤーではないにもかかわらず、いろいろなノイズを出したりしている」とも言及した。

 安倍首相は今回、首脳会談後に少人数会合をセットした。参加したのは両首脳を含め計6人のみ。安倍首相が日米同盟の重要性などを伝えるとともに、ドゥテルテ氏の本音を聞き出すのが目的だったとされる。会合は首脳会談の2倍に当たる約70分に及んだ。この後の夕食会で、ドゥテルテ氏は「日本は真の友人で、しかも兄弟よりももっと近しい関係にある」とあいさつした。

 ドゥテルテ氏の反米・親中的な発言を懸念する声もあったが、日本政府は「何の心配もしていない」(菅義偉(すが・よしひで)官房長官)との態度で会談に臨んだ。ドゥテルテ氏が訪中した際、南シナ海問題の仲裁裁判所裁定の棚上げをめぐり、今後議論する考えを示すなど「ぶれていない」からだ。

 共同声明には「両国の種々の友好関係および同盟関係のネットワークが、地域の平和と安定、海洋安全保障を促進する」との文言が入った。政府関係者は「日本が比米間をつなぐことで南シナ海の平和と安定に寄与するということだ」と解説し、こう言い切った。

 「首脳会談は成功だ」(田北真樹子)