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【街行く路面電車】春の香り舞い込んだ 長崎電気軌道

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【街行く路面電車】春の香り舞い込んだ 長崎電気軌道

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満開の桜並木に沿って走る長崎電気軌道の路面電車。ピンク色の花びらが車両とともに一帯を包み込んだ =3月26日、長崎市(桜町支線・桜町-市民会館間)(永田直也撮影) 満開の桜並木に沿って走る長崎電気軌道の路面電車。ピンク色の花びらが車両とともに一帯を包み込んだ =3月26日、長崎市(桜町支線・桜町-市民会館間)(永田直也撮影)
さまざまなデザインの電車が、住宅が立ち並ぶ小高い山を背景に4両重なった。坂の街らしい風景が沿線に広がっていた(永田直也撮影)
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さまざまなデザインの電車が、住宅が立ち並ぶ小高い山を背景に4両重なった。坂の街らしい風景が沿線に広がっていた(永田直也撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 ごおぉっという低いモーター音とともに来たのはクリーム色とえんじ色に塗り分けられた路面電車だった。

 長崎電気軌道は市街を走る。出合ったのは「桜町」から「市民会館」の間あたり。丁字路で分岐した軌道の先で、11本の満開の桜が小さな車体を出迎えるように枝を広げていた。

 訪れたのは3月下旬ごろ。約25年前に植樹された桜並木は路面電車の路線に重なる。乗務歴2年の運転士、松永成人さん(25)によると、今年は新型コロナ対策で窓を開けて走ったため、「春の香りが車内に流れ込んだ」という。

 長崎のシンボルである稲佐山の眼下を、通勤客を乗せ走る(永田直也撮影)
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 長崎のシンボルである稲佐山の眼下を、通勤客を乗せ走る(永田直也撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 長崎は周囲を山に囲まれ、観光スポットや商業施設が狭い市街中心部に集まっている。そこを路面電車が新旧の多様なデザインの広告をまとい、縫うように走る。市民や観光客には、ちょうどいい“足”なのだという。長年運転士を務めた永山茂雄さん(61)は「(地形の)おかげで路線網を大きく変えず維持できています」と話した。

5月の運転士実技試験に向け、真剣な表情で運転教習を受ける研修生ら(永田直也撮影)
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5月の運転士実技試験に向け、真剣な表情で運転教習を受ける研修生ら(永田直也撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 この町にも近く大きな変化があるという。来年秋、長崎に新幹線がやって来るのだ。昨年春、新幹線の巨大な高架が小さな路面電車の軌道の上にかかった。

 交差する新しく大きな新幹線と緩やかに走る路面電車。そんな光景が見られるのも遠くない。常に新旧が交わり続けた長崎らしい景色かもしれない。

 

 広島、長崎に生まれ育った私にとって路面電車は日常です。ところが、今も残るのは全国でたった18路線。日常に溶けこんだ路面電車のある生活を四季の風景とともに紹介します。(写真報道局 永田直也)

 【沿革】 長崎市内の平和公園や新地中華街、グラバー園などを結び、地元や観光客の足として親しまれる。
 昭和20年8月の原爆投下により甚大な被害を受けるが、同年11月に運行を再開。路線網はほぼ当時のまま運行を続けている。
 【開業】大正4年11月16日
 【路線】4路線11.5キロ
 【車両】19形式 72両
 【運賃】全線130円

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