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【美しきにっぽん】悠久の時間が生んだ地下宮殿 銀水洞・大山水鏡洞(沖永良部島)

自然・風景

【美しきにっぽん】悠久の時間が生んだ地下宮殿 銀水洞・大山水鏡洞(沖永良部島)

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 銀水洞の大ホール。ライトで照らすと洞窟の全貌が浮かび上がった =鹿児島県の冲永良部島(彦野公太朗撮影)  銀水洞の大ホール。ライトで照らすと洞窟の全貌が浮かび上がった =鹿児島県の冲永良部島(彦野公太朗撮影)
 大山水鏡洞では天井から床までつながった鍾乳石の柱が見られる(彦野公太朗撮影)
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 大山水鏡洞では天井から床までつながった鍾乳石の柱が見られる(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 鹿児島・奄美群島の沖永良部島はサンゴ礁が隆起した島だ。地下に大小300の洞窟があり、ケービング(洞窟探検)の聖地ともされる。今回は壮大さで最高峰ともされる銀水洞(ぎんすいどう)にガイドとともに向かった。

 森を歩くと、水の流れる音が聞こえきた。小さな沢を下っていくと、ぽっかりと空いたトンネルがみえた。ここが入り口だ。中へ入ると、急激に狭くなり、腰をかがめ、四つんばいに。周囲は真っ暗。ヘルメットに装着したヘッドランプの光だけが頼りだ。

 水中から見たリムストーンプール。粒状に結晶化した炭酸カルシウムが広がっていた(彦野公太朗撮影)
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 水中から見たリムストーンプール。粒状に結晶化した炭酸カルシウムが広がっていた(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 水がいつの間にか、ひんやりした地下水に変わっている。途中、あおむけにならないと顔が水中に沈んでしまう場所もあり、滑りやすい岩に気を配りながら、地下へと降りていった。

 見上げると天井から真っ白な鍾乳石が何本も垂れ下がっていた。1センチ伸びるのに100年かかるという年月を想像すると言葉を失う。板状の鍾乳石が連なる「カーテン」もあった。風にたなびくような造形の石のひだが輝いていた。

 洞窟から出ると木漏れ日がまぶしく感じた(彦野公太朗撮影)
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 洞窟から出ると木漏れ日がまぶしく感じた(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 2時間ほど進むと広いホールに出た。奥行き50メートル、高さ20メートルを超える巨大な空間。真っ白な岩のくぼみに水がたまってる。畔(あぜ)石を意味する「リムストーン」に水がたまる造形で、リムストーンプールと呼ばれる。ガイドたちが防水の照明を水たまりに沈めると暗闇が青い光に照らされた。いくつものリムストーンプールが青く輝く棚田にみえた。

悠久の年月が生み出した鍾乳石は圧巻だ(彦野公太朗撮影)
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悠久の年月が生み出した鍾乳石は圧巻だ(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 この光景は「日本ケイビング連盟」の会長でもある洞窟探検家の吉田勝次さん(54)が見いだした。国内外1000カ所以上の洞窟に潜ったキャリアがある吉田さんが島を訪れたのは約10年前。事前調査で銀水洞に入った際、澄んだ水で満ちたプールに明かりをともせば、大ホールが青い光で照らされた幻想的な風景になると考えた。そのために、持ち込む照明は60本以上、重さは10キロを超える。環境保全のため、毎回持ち帰っているという。 

 薄く形成された鍾乳石。ベーコンと呼ばれている(彦野公太朗撮影)
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 薄く形成された鍾乳石。ベーコンと呼ばれている(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 案内してくれたケービングガイドの小林英俊さん(36)は「(道程の)ハードルは高いけれど頑張った先に絶景が広がります。ここでしかできない経験を楽しんで」と胸をはる。

 悠久の時間をかけた自然の造形を人間が持ち込んだ照明が浮かび上がらせ、つかの間、出現した地下宮殿だった。堪能して地上に戻ると、現実の太陽の光が出迎えてくれた。(写真報道局 彦野公太朗)

■関連【360°パノラマ】沖永良部島の「大山水鏡洞」

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