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お姉ちゃん、一緒に学校に行こう 制服にに縫い込まれた「愛梨」「珠莉」【東日本大震災10年】

東日本大震災

お姉ちゃん、一緒に学校に行こう 制服にに縫い込まれた「愛梨」「珠莉」【東日本大震災10年】

更新 sty2103010005
 愛梨ちゃんのために仕立てた制服を着る次女の珠莉さん(右)。母・美香さんは「10年間、珠莉にもつらい思いをさせた。今後は希望をかなえさせてあげたい。成長が楽しみ」と笑顔で話す =宮城県石巻市(納冨康撮影)  愛梨ちゃんのために仕立てた制服を着る次女の珠莉さん(右)。母・美香さんは「10年間、珠莉にもつらい思いをさせた。今後は希望をかなえさせてあげたい。成長が楽しみ」と笑顔で話す =宮城県石巻市(納冨康撮影)
 震災前と変わらない愛梨ちゃんの部屋。水色が大好きで、このランドセルは自ら選んだという =宮城県石巻市(納冨康撮影)
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 震災前と変わらない愛梨ちゃんの部屋。水色が大好きで、このランドセルは自ら選んだという =宮城県石巻市(納冨康撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 制服の裏地には、2人の名前が刺繍(ししゅう)されている。

 制服は4年前の春、東日本大震災で亡くなった長女の愛梨ちゃん(当時6歳)が中学に入学した姿を思い母親の佐藤美香さん(46)が仕立てた。新しい名前が加わったのは、次女の珠莉(じゅり)さん(13)が中学生になった昨年春。「お姉ちゃんと一緒に学校に行くよ」と毎朝、袖を通す。

 生前、愛梨ちゃんが書いた母・美香さんの誕生日を祝うメッセージ =宮城県石巻市(納冨康撮影)
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 生前、愛梨ちゃんが書いた母・美香さんの誕生日を祝うメッセージ =宮城県石巻市(納冨康撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 珠莉さんは「いずれ私が着ると思ってました。天国のお姉ちゃんはいま高校生活を頑張っていると思います」とはにかむ。

 当時、石巻市の日和幼稚園に通っていた愛梨ちゃんは津波と火災のため、園のバスの中で他の園児とともに亡くなった。

 「あの時、園がバスを出さず高台にとどまっていれば。あの朝、あの小さな手を離さず登園するバスに乗せなければ。悔やんでも悔やみきれない」

 コロナ禍でオンラインでの語り部を行う美香さん。「命の大切さ、防災を考えるきっかけとなれば」と今後も語り部を続けるという =宮城県石巻市(納冨康撮影)
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 コロナ禍でオンラインでの語り部を行う美香さん。「命の大切さ、防災を考えるきっかけとなれば」と今後も語り部を続けるという =宮城県石巻市(納冨康撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 美香さんは「愛梨の命を無駄にしたくない。話さなければ伝わらない」という思いで、石巻に訪れる人々に愛梨ちゃんと防災の話を語る活動を続けてきた。

 珠莉さんは昨年秋、姉との記憶を描いた「真っ白な花のように」という短編小説を書き上げた。「お姉ちゃんへ『ありがとう』を一番伝えたかった」という珠莉さんの将来の夢は「記者になりたい」。そんな珠莉さんの成長が両親の希望となっているという。

東日本大震災で亡くなった長女の愛梨さんの制服を着て通学する次女の佐藤珠莉さん(右)。左は母の美香さん =宮城県石巻市(納冨康撮影)
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東日本大震災で亡くなった長女の愛梨さんの制服を着て通学する次女の佐藤珠莉さん(右)。左は母の美香さん =宮城県石巻市(納冨康撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 あの日のままの愛梨ちゃんの部屋には、小学校入学前に準備した水色のランドセルがある。夢はアナウンサーだった愛梨ちゃんに「元気かな? 天国で寂しくないかな?」と美香さんが呼びかける。

 机には震災後に見つかった母・美香さんの誕生日を祝う愛梨ちゃんのメッセージが置かれている。「ままのことだいすきだよ。あいりより」。10年の間、そしてこれからも大好きな家族を見つめ続ける。遺影の愛梨ちゃんの笑顔が輝きを増した気がした。(写真報道局 納冨康)

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