実りの秋 復旧へ確かな前進 福島・JR水郡線、台風19号被害から1年【動画あり】
更新 sty2010040001 夕日を受けて稲穂が輝いた。黄金色に染まった田園風景の中を、JR水郡線(水戸市-福島県郡山市)の列車が通り抜けていく。
福島県浅川町で米の収穫が最盛期を迎えている。米の6割がコシヒカリ。10月上旬まで稲刈りが続く。
だが昨年の秋は状況が違った。10月の台風19号で町を流れる社川(やしろがわ)が決壊。田んぼに土砂が流れ込むなどの被害を受けたJA夢みなみ浅川支店の真弓誠支店長(53)は「稲刈りの時期と重なったため、まだ収穫が終わっていない田んぼもあった」と説明。今年5月の田植えができないところもあった。
今年は「川沿いの農家に早めの収穫作業を呼びかけている」(真弓支店長)など台風に備えた。幸い今年は8月の天候に恵まれたこともあり、米の品質は例年より良いという。
台風の被害を受けたのは田んぼだけでない。JR水郡線では、茨城県大子町の橋梁(きょうりょう)が川の増水で流出。現在も不通区間が残り、バスで代替輸送を実施している。浅川町でも川の護岸の補修工事が続いている。
JR東日本水戸支社によると、流出した橋梁は安全性を高めた構造に変更。来夏の全線運転再開を目指しているという。
田んぼと列車が織りなす「実りの秋」。穏やかな光景は、台風の爪痕からの復旧を目指す取り組みの着実な前進の証でもある。(写真報道局 宮崎瑞穂)