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【廃炉へ~福島第1原発は今】(上)原子炉に響くアラーム “実物大の研究施設”5号機

東日本大震災

【廃炉へ~福島第1原発は今】(上)原子炉に響くアラーム “実物大の研究施設”5号機

更新 sty2005150007
原子炉格納容器の真下にある狭い空間。棒状のものは制御棒を押し上げる駆動装置 =東京電力福島第1原発の5号機(芹沢伸生撮影) 原子炉格納容器の真下にある狭い空間。棒状のものは制御棒を押し上げる駆動装置 =東京電力福島第1原発の5号機(芹沢伸生撮影)

 「ピッピッ」「ピッピッ」

 0.02ミリシーベルトで警告が鳴るようセットした線量計のアラームが響いた。天井部分から無数の機器が突き出し、立ち上がることもままならない暗く狭い空間には、今も一定量の放射線が存在していた。

 ここは、福島県大熊町と双葉町に立地する、東京電力福島第1原発の5号機の中。原子炉格納容器の真下だ。上から出ている棒状のものは、制御棒を水圧で押し上げる駆動装置。注意していてもヘルメットがいろいろな所にぶつかってしまう。超広角レンズでも、いいアングルを見つけるのが難しい。

5号機の入口で撮影。原子炉格納容器に入るにはカバーオールを着て、手袋や靴下を重ねて着用、靴も履き替えなければいけない =東京電力福島第1原発の5号機(芹沢伸生撮影)
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5号機の入口で撮影。原子炉格納容器に入るにはカバーオールを着て、手袋や靴下を重ねて着用、靴も履き替えなければいけない =東京電力福島第1原発の5号機(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 東日本大震災発生時、5号機は定期検査中だった。事故を起こした1~4号機と同じく、津波で外部電源を喪失したが、隣接する6号機の非常用発電機が使えたため、6号機とともに爆発は免れた。いずれも7年前に廃炉が決まっている。

 現在、福島第1原発の作業現場の約96%では、普通の作業服と防塵マスクで仕事をすることができる。しかし、既に使用されていないとはいえ原子炉の中。ここに入るには服の上にカバーオールと呼ばれるつなぎを着て、全面マスクも着用しなくてはならない。

 さらに、手袋は軍手の上にゴム手袋を2枚。手袋を3枚重ねた指先は感覚が鈍く動かしにくい。カメラをスムーズに操作するのは難しい。靴下も2枚重ねてはき、靴を履き替えやっと準備が整った。

 この5号機は、事故で損傷した1~4号機の廃炉を進めるうえで大切な役割を担っている。5号機の原子炉格納容器は2~4号機と形や大きさなどが同じで、1号機も似ているからだ。事故を起こした格納容器内部の詳細は明らかになっていない。それでも、金属やコンクリートと一緒に溶け落ちて固まった燃料デブリを安全に回収しなくては、廃炉は実現しない。

5号機の原子炉格納容器の下部から見上げて撮った1枚 =東京電力福島第1原発(芹沢伸生撮影)
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5号機の原子炉格納容器の下部から見上げて撮った1枚 =東京電力福島第1原発(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 原子炉格納容器に入るルートをどう確保するか、内部の状況をどう把握するか、遠隔操作する装置の大きさや耐放射線性能の設計をどうするか-など、廃炉に向けやるべきことは山ほどある。5号機はさまざまな研究や開発に欠かせない「実物大の研究施設」になっている。

 1、2号機は原子炉格納容器の下部に溶け落ちた燃料があると推測され、いずれも堆積物があることを確認している。3号機は燃料デブリを含むと思われる堆積物があり、原子炉格納容器の真下が水浸しになっていることも分かっている。

 多くの機器が複雑に配置された狭い空間で、遠隔操作する装置を燃料デブリに到達させるだけでもどれだけ大変か、容易に想像がついた。

 未曽有の大事故からの廃炉作業が進む東京電力福島第1原発。昨年12月から今年4月にかけて、廃炉作業の現場を取材した。(福島支局 芹沢伸生)

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