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【美しきにっぽん】来春へ 心込める守り人 しだれ梅(三重・鈴鹿)

自然・風景

【美しきにっぽん】来春へ 心込める守り人 しだれ梅(三重・鈴鹿)

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青空の下で咲き誇るしだれ梅。流れるような枝ぶりには職人の技が生かされている =3月5日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影) 青空の下で咲き誇るしだれ梅。流れるような枝ぶりには職人の技が生かされている =3月5日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)
約200本のしだれ梅が立ち並ぶ景色は圧巻だ =2月26日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)
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約200本のしだれ梅が立ち並ぶ景色は圧巻だ =2月26日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 威風堂々と立ち並ぶしだれ梅の古木。いっぱいに広げた枝から花がこぼれ落ちるように咲く光景は、薄紅色の噴水のようだ。周囲には甘酸っぱい香りが漂い訪れる人を春にいざなう。

雨にぬれたしだれ梅のつぼみ。天候や時期により、さまざまな表情が見られる =3月4日(鳥越瑞絵撮影)
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雨にぬれたしだれ梅のつぼみ。天候や時期により、さまざまな表情が見られる =3月4日(鳥越瑞絵撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 三重県鈴鹿市の「鈴鹿の森庭園」は、毎年2月から3月のしだれ梅の開花時期だけ一般公開される。栽培や剪定(せんてい)など研究のため、全国から約200本のしだれ梅を集め、平成26年にオープンした。樹齢約100年の樹々を毎春満開にさせるのは、いったいどんな人たちなのだろう。花が咲き終わった3月下旬、そんな思いで庭園を訪れた。

花が終わった後に剪定する職人の後藤繁樹さん(42)。来季花が咲いた状態を想定して整えていく =3月20日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)
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花が終わった後に剪定する職人の後藤繁樹さん(42)。来季花が咲いた状態を想定して整えていく =3月20日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 チョキ、チョキン…。開期中はにぎわった園内にはさみの音が響く。5メートルはある木に職人がスルスルと登り、不要な枝を手際よく切り落としていく。

 「大胆かつ繊細に」と話すのは、園内を管理する造園業者「正樹園」代表の清水正樹さん(57)。来季の花の見栄えを良くするため、ときには勇気を持って太い枝を切る必要もあるという。

しだれ梅 =2月26日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)
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 約1カ月かけて剪定した後は、害虫が発生する季節になる。幹を食い荒らし枝の生育を悪くするガの一種「コスカシバ」などを、人の手で一匹ずつ駆除することもある。近年の気温上昇の影響も避けられない。清水さんは「今年は暖冬だったせいか、例年のこの時期なら、まだ見かけないはずの雑草が、もう多く生えてきています」と困り顔だ。

しだれ梅 =3月3日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)
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しだれ梅 =3月3日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 庭園の管理は自然に左右される。だからこそ自然のリズム、そして共存を意識することも多い。

 園を運営する「赤塚植物園」の波尻憲人広報部長(52)は「月の満ち欠けによって害虫が繁殖する時期が変わるので、それに合わせて農薬を散布するタイミングを考えています」と説明。「ただし農薬は最小限にしています。鳥がたくさん来るのはその証拠ですね」と付け加えた。

 咲き始め、満開、散り始め…。訪れるたびに違う表情で人々を魅了するしだれ梅。花の時期を終え、まだ青色が残る空をバックに職人の手入れを受ける木々は枝を差し出しながら職人とやりとりをしているように見える。

しだれ梅 =3月3日、三重県鈴鹿市(鳥越瑞絵撮影)
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 自身も庭園の整備や管理を行い、梅への愛情も人一倍という波尻部長の言葉を思い出した。

 「一本一本個性があるから、手間をかけないといけません」

 来年はどんな姿をみせてくれるのだろう。愛情にあふれた“守り人”に思いをはせながら楽しみたい。(写真報道局 鳥越瑞絵)

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