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【活写2019】風化させず 命守るため 進化する防災学習施設、神戸・京都・大阪

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【活写2019】風化させず 命守るため 進化する防災学習施設、神戸・京都・大阪

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南海トラフ地震で被害が想定される高知県黒潮町の映像が流れる「津波避難体験コーナー」。避難タワーをめざし水圧がかかる中での歩行の難しさを疑似体験できる =11月27日、神戸市中央区の人と防災未来センター(彦野公太朗撮影) 南海トラフ地震で被害が想定される高知県黒潮町の映像が流れる「津波避難体験コーナー」。避難タワーをめざし水圧がかかる中での歩行の難しさを疑似体験できる =11月27日、神戸市中央区の人と防災未来センター(彦野公太朗撮影)

 風化させない-。災害を語るとき、必ず繰り返される言葉だ。しかし、時の流れとともに、記憶は色あせ薄れていく。心に固く刻んだはずの地震や津波から命を守るすべを、いつまでも伝えるためには、何が必要なのだろう。リニューアルを重ねている関西の3つの防災学習施設を取材した。

 「大津波警報が発表されました」。音声が流れると、みるみるうちに街中に水があふれる映像が280インチのモニター画面に映し出された。

「人と防災未来センター」に新設された津波避難体験コーナー =神戸市中央区(彦野公太朗撮影)
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「人と防災未来センター」に新設された津波避難体験コーナー =神戸市中央区(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 神戸市中央区の「人と防災未来センター」は昨年8月に「津波避難体験コーナー」を導入した。南海トラフ地震が起きた高知県黒潮町を想定。単に映像を見るだけではなく、負荷がかかる装置に両足を入れることで水圧がかかった状態を体感できることが特徴だ。

 体験してみると30センチ想定の水圧で、もう足が動かない。「まだ余裕がある」と油断していたら、あっという間に身動きが取れなくなってしまうだろう。「とにかく避難することです」という藤村仁志・事業部運営課長の言葉が身に染みた。

机の下に隠れる辻井さん親子。テレビから緊急地震速報が流れると、ガスの元栓を閉めるなど地震発生直後の行動確認をとっていた =京都市南区の京都市市民防災センター(彦野公太朗撮影)
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机の下に隠れる辻井さん親子。テレビから緊急地震速報が流れると、ガスの元栓を閉めるなど地震発生直後の行動確認をとっていた =京都市南区の京都市市民防災センター(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 京都市南区の「京都市市民防災センター」は昨年夏に「地震体験室」をリニューアルした。平成16年の新潟県中越地震などの波形が再現可能だ。

 リビングのテレビから緊急地震速報が流れると同時に揺れが襲う。「普段から揺れたらどうするか、子供に話してます」と訪れた父親の辻井知幸さん(43)。素早く机の下にもぐりこんだ息子の嘉一(かいち)くん(2)を背中から抱きしめ、揺れから守った。

区ごとの災害危険性が色分けされた表示で分かりやすい「あべのタスカル」のおおさか防災情報ステーション =大阪市阿倍野区(彦野公太朗撮影)
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区ごとの災害危険性が色分けされた表示で分かりやすい「あべのタスカル」のおおさか防災情報ステーション =大阪市阿倍野区(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 今年4月にリニューアルした大阪市阿倍野区の「あべのタスカル」に設置されたのは、浸水被害や震度予想など区ごとの災害危険性をチェックできる装置。2次元コードを印刷することで、スマートフォンなどで情報を知ることができる機能もある。家や職場でも話題にしてほしいという狙いがあるからだ。

被災した町並みをリアルに再現した「あべのタスカル」のがれきの街 =大阪市阿倍野区(彦野公太朗撮影)
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被災した町並みをリアルに再現した「あべのタスカル」のがれきの街 =大阪市阿倍野区(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 同時に目を引くのが被災後の町並みを再現した「がれきの街」。お好み焼き店や医院が損壊、シューという音とともにガスがでたり、突然看板が外れるなど精巧に作り込まれている。

 取材で浮かんできたのは「リアル」と「共有」の大切さだ。視覚だけでなく、音や圧力など五感をフルに生かして災害の恐ろしさを正しく知る。そしてどう行動するか、家族や知人と事前に話し合って共有しておくことが、生き抜くための鍵になる。

 阪神大震災からあと1カ月で25年。進化し続ける防災施設から、大切なことを学んだ気がした。(写真報道局 彦野公太朗) 

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