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【美しきにっぽん】寄り添う思い まちを包む 大分県竹田市「竹楽」

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【美しきにっぽん】寄り添う思い まちを包む 大分県竹田市「竹楽」

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竹田が豊後南画のふるさとであることから、竹灯籠は実際の南画に描かれた川の流れをモチーフに並べている。最終日は、住民の手で一つ一つ灯りを消していく =大分県竹田市の十六羅漢(須谷友郁撮影) 竹田が豊後南画のふるさとであることから、竹灯籠は実際の南画に描かれた川の流れをモチーフに並べている。最終日は、住民の手で一つ一つ灯りを消していく =大分県竹田市の十六羅漢(須谷友郁撮影)
十六羅漢に並べられた竹灯籠が作り出す光の世界を一目見ようと多くの観光客が駆けつけた(須谷友郁撮影)
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十六羅漢に並べられた竹灯籠が作り出す光の世界を一目見ようと多くの観光客が駆けつけた(須谷友郁撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 無数に連なる灯火をひきたてるのは、城下町をとっぷりと包む暗がり。その闇に溶け込むように、灯りに寄り添い穏やかな眼差しで見つめる“裏方”の姿が、影となって浮かぶ。

 「すごい。きれい…」。感嘆の声がいくつ聞こえただろう。大分県竹田市。並ぶ石像にちなんで「十六羅漢」と呼ばれるスポット。うねうねと上に続く光の川が、日が沈むにつれて輝きを増していくと、フラッシュの数も増えた。

 使用した竹灯籠は、竹田市と歴史文化姉妹都市提携を結ぶ大阪府茨木市へ地域の職員や高校生の協力のもと運び出された。届けられた約5千本の竹灯籠は12月7日開催予定の「いばらき竹灯籠」で使用される(須谷友郁撮影)
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 使用した竹灯籠は、竹田市と歴史文化姉妹都市提携を結ぶ大阪府茨木市へ地域の職員や高校生の協力のもと運び出された。届けられた約5千本の竹灯籠は12月7日開催予定の「いばらき竹灯籠」で使用される(須谷友郁撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 竹田市の城下町一円が約2万本の竹灯籠で彩られるイベント「竹楽(ちくらく)」。たった3日間、数時間の光を見ようと約10万人が訪れ、静かな街は別の表情を見せる。

 主催しているのは、NPO「里山保全竹活用百人会」。理事長の井上隆さん(67)は「もともとは里山を保全するために始まったんです」と振り返る。

紅葉した山々に囲まれた竹田市中心部 (須谷友郁撮影)
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紅葉した山々に囲まれた竹田市中心部 (須谷友郁撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 竹田市は総面積約480平方キロのうち森林が約7割を占める。竹の生産量が多く、家具や日用品などに使用していたが、約50年前からプラスチックに代わられ里山は放置される。

 荒れる山林を維持するためには、継続的な伐採が必要。保全のため切り出した竹を灯籠に加工し、街一帯に並べ、地域の活性化につなげようという試みから竹楽はスタートした。

 20回目を迎え、今では海外の観光客も訪れる竹楽を支えるのは地域の絆だという。先頭に立って運営を担当する副理事長の三浦勝哉さん(67)は「正直、しんどいこともたくさんあるけど、長年付き合ってきた地域の仲間との深い絆があるから頑張れる」と話す。

 竹田市も他の自治体と同様、少子高齢化に直面している。一大イベントになった現在、竹楽は若い人の力なしでは成立せず、継続に向けた不安は拭えない。将来を見据えるからこそ、竹楽を支え、寄り添う人々の思いはより深くなる。

 午後5時、辺りはカメラを構えた人でいっぱいになった。一つ一つ灯された火がじんわりと周りを暖め、晩秋のひんやりと澄んだ空気が、オレンジ色の輝きをいっそう際立たせる。竹灯籠のなかでゆらめく優しい炎に、竹田の人々の強く深い絆を垣間見た。(写真報道局 須谷友郁)

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