【第60次南極観測隊】ドームふじチーム観測終了 BC撤収し帰路へ
更新 sty1901090010南極・昭和基地から約1000キロ離れたドームふじ基地(南緯77度19分1秒、東経39度42分12秒、標高3810メートル)周辺で、大陸を覆う氷の内部構造の調査などを続けていた「ドームふじチーム」が予定していた活動を終え、帰路に就いたことが8日までに国立極地研究所(中村卓司所長、東京都立川市)に入った連絡で分かった。
極寒の内陸で観測を行ったメンバーは、第60次南極観測隊(堤雅基隊長)の先
遣隊8人と59次越冬隊員2人、ノルウェーの観測隊員2人の計12人。ドームふじ基地の南約50キロにベースキャンプ(BC)を設置、BC周辺の氷床内部の探査などを続けていた。
氷の探査は新たな観測拠点の設置場所特定のために実施。新観測拠点では氷床を掘削し、関係者は最深部から100万年以上前の氷を入手したい考えでいる。プロジェクト成功には、精度の高い事前調査が不可欠。レーダーシステムを搭載した大型雪上車で、これまでの調査で絞り込んだ候補地をくまなく走破し氷の厚さや構造、「氷の年齢」を推定するデータなどを集めていた。
氷床の探査を行う一方、BCでは氷床を掘り「アイスコア」と呼ばれるサンプルを集める作業も実施。掘削作業は昨年12月29日に深さ142メートルまで到達し完了。アイスコアは日本に持ち帰り、詳しく分析を行うことにしている。
BCは12月31日までに撤去したという。チームは現在、昭和基地に近い南極大陸の拠点「S16」を目指して移動を続けている。(編集委員 芹沢伸生)