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山寺の 岩にしみ入る〝猫の声〟 山形・立石寺

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山寺の 岩にしみ入る〝猫の声〟 山形・立石寺

更新 sty1812070006
「山寺」で暮らす猫。紅葉の落ち葉が鮮やかに境内を彩る秋、日だまりで体を暖めていた=山形市の立石寺(尾崎修二撮影) 「山寺」で暮らす猫。紅葉の落ち葉が鮮やかに境内を彩る秋、日だまりで体を暖めていた=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)
「山寺」で暮らす猫。寺務所周辺で自由に遊び回る=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)
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「山寺」で暮らす猫。寺務所周辺で自由に遊び回る=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 山形市にある立石寺、通称「山寺」は、松尾芭蕉が名句「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」を詠んだ地として広く知られる。
 自然豊かな東北の山中で、四季折々の彩り豊かな表情を見せてくれることから、一年を通して県内有数の人気を誇る名刹だが、秋の紅葉は格別だ。

紅葉も人気の山寺

「山寺」で暮らす猫たち。寺務所周辺で自由に遊び回る=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)
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 今回訪問したのは11月上旬。麓から見上げると、切り立った山肌の断崖に張り出すように建てられた「五大堂」の姿。それを取り囲むように山全体が赤や黄色に染まる光景は、時のたつのを忘れて見入ってしまう。
 山門をくぐり寺務所へ歩を進めると、どこからか猫の鳴き声が聞こえてきた。甲高い「ミャー!」という響き…子猫のものだ。声のする方に向かうと、寺務所で働く後藤いく子さん(70)が開口一番「猫、かわいいでしょう。野良だった子たちだけど、寝床とエサを準備して世話をしているうちに、みんな人なつこい子になってきました」と笑顔で話す。

自然の営みと人間の優しさの調和

「山寺」で暮らす猫。寺務所周辺で自由に遊び回る=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)
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 里親募集も随時行っており「山寺の子」という事もあってか、引き取られた多くの猫が新しい家族のもとで幸せな〝猫生(にゃんせい)〟を送っているという。後藤さんの同僚・武田真澄さん(69)も「山寺を卒業した猫が幸せに暮らしているという知らせが嬉しい」と優しい笑顔を見せる。
 寺務所の裏手、関係者以外立ち入り禁止の場所にある猫小屋を〝マイホーム〟として、山寺のあちこちを自由気ままに闊歩する猫たちは元気一杯だ。食事の後は落ち葉のマットの上でじゃれあい、池の水で渇いた喉を潤す…。自然の営みと、それを見守る優しさが調和した光景だ。

温かく見守られて逞しく

「山寺」の寺務所周辺で無邪気に遊ぶ子猫のきょうだい。これは…あの「両手ぶらり戦法」?=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)
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「山寺」の寺務所周辺で無邪気に遊ぶ子猫のきょうだい。これは…あの「両手ぶらり戦法」?=山形市の立石寺(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 色鮮やかな秋が終わり、まもなく山寺に冬が訪れようとしている。山肌を白く染める雪が様々な音を吸収し、辺りを静寂が包み込むのだろう。しかし山寺に響く声は夏の蝉だけではない。温かい人々が見守る中、逞しく生きる猫たちがいる。彼らの「ニャ~」という声に、耳を傾けて見てほしい。
 ほんの少しだけ彼らの存在に寄り添って過ごすだけで、小さな命はまばゆいほどに輝き、我々の心に大切なものを取り戻させてくれる。寒い冬でも、温かい気持ちにしてもらえるはずだ。それを確認するためにも、雪化粧の山寺を再訪問したい。(写真報道局 尾崎修二)

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