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【第60次南極観測隊】地質から地球の生い立ちに迫る 夏隊・石川正弘さん

自然・風景

【第60次南極観測隊】地質から地球の生い立ちに迫る 夏隊・石川正弘さん

更新 sty1810220015
 昭和基地近くで撮った、白夜の「沈まない太陽」。地平線に迫った太陽は日付が変わると徐々に上昇した。地質を研究する石川さんには雪の少ない夏場が観測の好機になる。25分間隔で撮った8枚を合成(芹沢伸生撮影)  昭和基地近くで撮った、白夜の「沈まない太陽」。地平線に迫った太陽は日付が変わると徐々に上昇した。地質を研究する石川さんには雪の少ない夏場が観測の好機になる。25分間隔で撮った8枚を合成(芹沢伸生撮影)

 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授の石川正弘さん(51)=地球惑星科学=は、第60次南極観測隊(堤雅基隊長)の夏隊員として今月末、極地に向けて旅立つ。南半球の夏にあたる11月から1月まで3カ月間、地質の専門家4人でチームを組み、昭和基地に滞在して地質調査を行う。

 第60次南極観測隊の夏隊員、石川正弘さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影) 
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 第60次南極観測隊の夏隊員、石川正弘さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影) フルスクリーンで見る 閉じる

 昭和基地周辺では、主に20数億年前から5億年前に形成した岩石が、地表に出ていることが近年の研究で分かってきた。「一帯の地質構造を詳しく調査し、大陸がどのように成長したかなど、地球の生い立ちに迫る」のが観測の目的だ。

 南極観測隊は51次隊以来9年ぶり5回目。観測隊には、南極の夏場に観測を行う「夏隊」と、1年を通して滞在する「越冬隊」がある。地質分野の研究者が南極で効率よく観測できるのは、雪が少ない夏場に限られるため、経験したのはすべて夏隊だ。しかし、夏といってもそこは極地。野外観測をしていて猛烈な暴風雪に遭遇した経験もある。

 昭和基地がある東オングル島(手前)。石川さんはこの一帯の地質構造を調査する=平成23年2月、南極(芹沢伸生撮影)
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 昭和基地がある東オングル島(手前)。石川さんはこの一帯の地質構造を調査する=平成23年2月、南極(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 小さい頃から石拾いが大好きだった。高校では地学部に入り、自転車に乗って仲間と何回も地層見物などに出かけた。次第に「採集したり見たりするだけでは満足できなくなり、未知の問題を探求したいと考えるようになった」。進学した東北大学理学部では地学を専攻、大学院博士課程1年のとき24歳で33次隊の一員になった。

 日本で「南極観測隊」といえば、多くの人が「昭和基地」を連想するが、過去4回参加した観測隊で「昭和基地に行った経験はほとんどない」という。地質調査を行うチームは、観測船「しらせ」から直接、野外観測地にヘリコプターで飛び、キャンプをしながら数カ月活動、再び観測船に戻るという行動パターンが珍しくないからだ。

 第60次南極観測隊の夏隊員、石川正弘さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影) 
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 第60次南極観測隊の夏隊員、石川正弘さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影) フルスクリーンで見る 閉じる

 今回は、昭和基地がある東オングル島が主な研究の場。そのため、基地に滞在しながらの観測になる。訪れるのは26年ぶりだ。「全く様子が変わっていると思う。何も分からないので、初めてのつもりでやりたい」という。

 50代になって初めての南極。最近は疲労回復に時間がかかるようになってもいる。しかし「3カ月のフィールドワークが体にどう影響するか、気にはなるが心配はしていない」という。

 それよりも「最近は日本の地殻構造の研究が主になり、実験で大学にいることが多かった」ため「フィールドの方がひらめくこともある。ときどき外に出ないと…。久しぶりでワクワクする」と笑った。(編集委員 芹沢伸生)

南極360°パノラマ

■Vol.1 360度、白一色 (2011年1月16日撮影)
■Vol.2 昭和基地の記念写真スポット (2011年1月31日撮影)
■Vol.3 観測隊の生命線 (2011年1月31日撮影)
■Vol.4 真っ赤なリンゴ小屋 (2011年1月16日撮影)
■Vol.5 ネットもOK (2011年2月4日撮影)

■Vol.6 基地のシンボル「管理棟」 (2011年1月31日撮影)
■Vol.7 陸と海氷の境目 (2011年1月31日撮影)
■Vol.8 氷の海を進む「しらせ」 (2011年2月12日撮影)
■Vol.9 ペンギンの集団繁殖地 (2011年1月16日撮影)
■Vol.10 白い大陸に立つ (2011年1月16日撮影)

■砕氷艦「しらせ」を探検 (2010年10月29日・11月11日、2011年11月11日撮影)

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