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【第60次南極観測隊】五感使って天気予報を 越冬隊の気象担当・井上創介さん

自然・風景

【第60次南極観測隊】五感使って天気予報を 越冬隊の気象担当・井上創介さん

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氷山をバックに海氷上を雪上車が走る。極地の自然の厳しさと美しさ、両方を知りたいと井上創介さんは考えている=南極(芹沢伸生撮影) 氷山をバックに海氷上を雪上車が走る。極地の自然の厳しさと美しさ、両方を知りたいと井上創介さんは考えている=南極(芹沢伸生撮影)

 気象庁職員の井上創介さん(35)は11月、第60次南極観測隊(堤雅基隊長)の越冬隊員として、昭和基地に向け旅立つ。気象チームの一員として、観測や天気予報などを行う。厳しい環境下での仕事になるが「オーロラや蜃気楼(しんきろう)など、極地の自然を見たり、色々なことを経験したい」と、「白一色の世界」に思いをはせながら、最後の準備に余念がない。

 初めての南極観測隊参加で抱負を語る井上創介さん=東京・大手町の気象庁(芹沢伸生撮影)
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 初めての南極観測隊参加で抱負を語る井上創介さん=東京・大手町の気象庁(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 気象庁では第1次隊員が昭和32年に南極での観測を開始。現在は地上や高層の気象、オゾン、日射放射量などの観測を行っている。膨大なデータは、天気予報や気候変動の研究などに欠かせない。南極で24時間体制の観測を継続するため、越冬隊に5人を毎年派遣している。

 アウトドアが好きで趣味は登山。越冬経験がある先輩から「観測隊に向いている」と勧められ、南極にも興味がわいた。「家族には申し訳ないが『希望も出さずにいたら一生後悔する』と思い、奥さんにお願いした」と話す。

 毎年希望を出し続け、3年目に念願がかなった。越冬隊は出国から帰国まで1年4カ月の長丁場。今、昭和基地では日本と同様のネット環境が整っている。「家族と普通に連絡が取れるので安心」という。

 気象担当の職場になっている気象棟=平成23年2月、昭和基地(芹沢伸生撮影)
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 気象担当の職場になっている気象棟=平成23年2月、昭和基地(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 これまで職場で担当したのは、主に天気予報と地上観測業務。「南極では毎日、空を見ながら予報ができる。五感を使って仕事ができるのは魅力。今は予報するときも、パソコンに向かっていることが多いので…」と笑う。

 南極観測隊の仕事は過酷を極める。基地内の建物を行き来するだけでも、ブリザードが吹き荒れれば命綱が必要になり、外出禁止になることもある。厳しい自然に対しても「美しくもあるはず。そうだとしたら怖さも、どれだけきれいなのかも見たい」と前向きだ。

 気象担当として越冬への思いを語る井上創介さん=東京・大手町の気象庁(芹沢伸生撮影)
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 気象担当として越冬への思いを語る井上創介さん=東京・大手町の気象庁(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 気象担当は交代勤務の24時間体制で観測業務を続ける。毎日2回、高層気象観測の気球も上げている。「仕事量の多さに驚いた。いかに観測を継続していくのかを考えると頭が痛い」。待ち受ける日々の業務について話すときは、厳しい表情になった。

 越冬隊は総勢31人。この人数だけで基地を維持し、生活をしながら観測業務を行う。専門外の仕事も回ってくる。「除雪用ショベルカーの運転や重機が操れるよう免許を取った。現地で乗るのが楽しみ」と、子どものように笑った。(編集委員 芹沢伸生)

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