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【第60次南極観測隊】15年越しの夢かなう 越冬隊の通信担当・里中俊大さん

自然・風景

【第60次南極観測隊】15年越しの夢かなう 越冬隊の通信担当・里中俊大さん

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 深夜でもうっすらと明るい夏の南極。月明かりもある空をオーロラが覆う。「飽きるほど見たい」と里中さんは話す=平成23年2月、南極海(芹沢伸生撮影)  深夜でもうっすらと明るい夏の南極。月明かりもある空をオーロラが覆う。「飽きるほど見たい」と里中さんは話す=平成23年2月、南極海(芹沢伸生撮影)

 第60次南極観測隊(堤雅基隊長)の里中俊大さん(44)は通信担当の越冬隊員。11月の出発を前に、国立極地研究所(東京都立川市)で準備に追われている。「15年来の希望がかなった」という里中さんは、責任の重さを感じながらも、憧れの極地に思いをはせている。

 通信担当の越冬隊員として南極に赴く抱負を語る里中俊大さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影)
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 通信担当の越冬隊員として南極に赴く抱負を語る里中俊大さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 生まれ育ちは広島県。子供の頃から無線が大好きだった。父親に影響され小学生でアマチュア無線免許を取り、交信や無線機の分解などを楽しんだ。同じ頃、地元・呉に入港した南極観測船「しらせ」を見学した記憶もある。

 高校卒業後、就職した郵政省中国電気通信監理局(現・総務省中国総合通信局)が越冬隊員を派遣していると知り「行きたい」と思った。希望職種の隊員に必要な資格を持っていなかったため、仕事の合間に猛勉強を重ね、陸上無線技術士の免許を取得した。

無線機器がズラリと並ぶ昭和基地の通信室=平成23年1月、南極(芹沢伸生撮影)
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無線機器がズラリと並ぶ昭和基地の通信室=平成23年1月、南極(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 ところが、その後は人事異動などで観測隊を希望するタイミングに恵まれなかった。今回、関東総合通信局勤務で単身赴任中に南極行きを打診された。「希望者がいなかったため、自分にオファーがあった」といい、15年来の願いは思いがけない形でかなった。

 通信担当は、昭和基地を離れ野外観測に出かけた隊員との無線交信や、機器のメンテナンスを行う。「無線機の不調で交信できないのは許されない。緊急事態では命に関わる」と気を引き締める。「予備の機器が壊れることを考えると怖い」が「過去のトラブル記録を参考に、対処方法や必要な部品、資材を持っていく。万全な備えをしたい」と話す。

 第60次南極観測隊の里中俊大さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影)
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 第60次南極観測隊の里中俊大さん=東京都立川市の国立極地研究所(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 普段は無線局の許認可事務や電波監視業務などを行っている。極地の仕事とは全く異なるが「元々はアマチュア無線好きが高じて入った世界。交信も機械いじりも大好き。昭和基地は古い機械が多いと聞いており楽しみ」と笑う。「自分は縁の下の力持ち。回り道をしてここまできた。隊の仕事が円滑に進むよう尽力したい」との言葉に誠実さがにじむ。

 昭和基地のアマチュア無線局。ここでの交信も里中さんの楽しみのひとつ=平成23年1月、南極(芹沢伸生撮影)
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 昭和基地のアマチュア無線局。ここでの交信も里中さんの楽しみのひとつ=平成23年1月、南極(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 南極での楽しみはアマチュア無線という。「昭和基地のアマチュア無線局との交信は、世界中のマニアにとって憧れ。できる限り期待に応えたい」と張り切る。

 また、極地の自然を全身で感じたいとも考えている。「飽きるほどオーロラを見たい。そして空気を味わいたい」。(編集委員 芹沢伸生)

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