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【第60次南極観測隊】外国との共同観測で代表の重責 夏隊の重点研究観測担当・佐藤薫さん

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【第60次南極観測隊】外国との共同観測で代表の重責 夏隊の重点研究観測担当・佐藤薫さん

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 昭和基地沖に停泊する観測船「しらせ」。佐藤さんが赴くのは2回目だ=南極(芹沢伸生撮影)  昭和基地沖に停泊する観測船「しらせ」。佐藤さんが赴くのは2回目だ=南極(芹沢伸生撮影)

 東京大学大学院理学系研究科教授の佐藤薫さん(57)は、第60次南極観測隊(堤雅基隊長)の夏隊で、重点研究観測を担当する。専門は気象学。南極に初めて設置された大型大気レーダー「PANSY(パンジー)」のプロジェクトリーダーで、現地では世界中で一斉に行う国際共同キャンペーン観測の研究代表者を務める。

 第60次南極観測隊員の佐藤薫さん。大型大気レーダーのプロジェクトリーダーだ=東京都文京区の東京大学(芹沢伸生撮影)
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 第60次南極観測隊員の佐藤薫さん。大型大気レーダーのプロジェクトリーダーだ=東京都文京区の東京大学(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 観測隊に参加するのは2回目。前回は第44次の越冬隊員として、平成14年秋から16年春まで約1年4カ月出張、主にPANSYの設置準備を行った。「南極に大型大気レーダーを、と思い切った提案をしたら通った。研究者人生の半分以上をささげたプロジェクト」だ。

 1045本のアンテナで構成するレーダーの電波は、空気の「揺らぎ」にぶつかり反射する。その揺らぎを観測、地表から高度500キロメートルまでの風の強さや向きなどを解析し、地球環境の変化の予測精度を向上させるのが狙いだ。

 ブリザードが吹き荒れる昭和基地に、1千本以上のアンテナを設置するのは至難の業。環境への配慮も欠かせない。現地をつぶさに見て設置工事の効率、耐久性、性能をギリギリまで突き詰め「毎秒60メートルの風速に耐える重さ18キログラム以下のアンテナが必要」という結論を導き出した。

 建設開始は22年末で27年3月に本格稼働した。現物を見るのは今回が初めて。「アンテナをバックに記念写真を撮りたい」と、PANSYとの対面を楽しみにしている。

 小さい頃から理科系の教科が大好きで、中学時代は天気図にはまった。高校でも得意科目は物理や数学。「同じ教科が得意な人が集まっている」ことから東大理学部に進み、地球物理学科で気象を選択した。

 「南極への強いあこがれはなかった」が、結果として研究のフィールドになった。越冬経験を「海氷上をスノーモービルで出かけたり、仕事の合間に電子ピアノを弾いたり、毎日楽しかった」と振り返る。

 「昭和基地がどう変わっているのか楽しみ」だが、大変な仕事も待っている。来年1月から2月にかけて行われる、国際共同キャンペーン観測の研究代表者。世界16カ所にある大型大気レーダーで、同じタイミングで同じ高度の風を測り、データを解析する。

 近年、指摘される「上空90キロメートル付近の大気の大循環で、北極と南極の大気の状態はつながっている」との見方を裏付けるのが狙い。「理屈と研究データが、なかなか合わない。これをやり遂げたい」。真剣な表情になった。(編集委員 芹沢伸生)

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