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【第60次南極観測隊】日本の新観測拠点 候補地固まる 調査隊が絞り込み 100万年前の氷掘削狙う

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【第60次南極観測隊】日本の新観測拠点 候補地固まる 調査隊が絞り込み 100万年前の氷掘削狙う

更新 sty1810020019
雪上車の跡が果てしなく続く南極大陸(芹沢伸生撮影) 雪上車の跡が果てしなく続く南極大陸(芹沢伸生撮影)

 南極大陸における日本の新たな観測拠点の候補地が、ほぼ固まった。昭和基地の内陸約1千キロにあるドームふじ基地(南緯77度19分1秒、東経39度42分12秒)の南55キロ、標高3750メートル付近で、大陸を覆う氷床から100万年以上前の氷を掘り出し、太古の気象データなどを探る。関係者は再来年には拠点設置作業に入り、4年後に本格的な掘削を行いたい考えだ。

氷床を調べるレーダーを装着した大型雪上車=南極大陸(国立極地研究所提供)
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氷床を調べるレーダーを装着した大型雪上車=南極大陸(国立極地研究所提供)フルスクリーンで見る 閉じる

 新たな観測拠点は、昨年行った初の現地探査で候補地をピックアップしていた。さらに、今年12月から南極で活動する第60次南極観測隊の内陸調査隊が、約1カ月間かけて設置場所を絞り込む。氷の状態はレーダーを積んだ雪上車で氷床上を走り、内部の層構造から判断する。

 調査隊は総勢12人。10月下旬に日本から8人が出発し、昭和基地滞在中の第59次越冬隊員2人とノルウェー隊2人が途中で合流、雪上車6台で現地へ向かう。

白一色の世界が続く南極大陸(「しらせ」艦載ヘリから、芹沢伸生撮影)
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 新観測拠点では、南極大陸を覆う氷を掘削することで、地球温暖化の謎に迫る情報を収集する。

 南極の氷は、大陸に降った雪が長い年月を経て雪の重さで固まったもので、空気や不純物が閉じ込められている。これを円柱状に垂直方向へ掘削。掘り出した「氷床コア」と呼ばれるサンプルを分析することで、大気中の二酸化炭素濃度や降水量、気温などの変化が数十万年規模で分かる。

 南極大陸で探査を行うレーダーを取り付けた大型雪上車=昨年12月(国立極地研究所提供)
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南極大陸で探査を行うレーダーを取り付けた大型雪上車=昨年12月(国立極地研究所提供) フルスクリーンで見る 閉じる

 これまでに掘削された最古の氷床コアは、平成17年の欧州共同プロジェクトによる82万年前の物。さらに古いものを狙い世界中の研究者らが競争を繰り広げている。日本の観測隊は19年、標高3810メートルのドームふじ基地で、深さ3035メートルから72万年前の物を掘削している。

新観測拠点候補地と氷床掘削のイメージ
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 当時は氷床が最も厚い場所を掘れば古い氷にたどり着くと考えられていたが、最下部は解けていた。近年の研究で厚い氷床が“断熱材”になり、地熱の影響を受けて下部は解けることが判明。氷の下の岩盤が盛り上がっている場所に、いい状態の氷が残っているとみられることも分かった。

 調査隊サブリーダーで、国立極地研究所の藤田秀二教授は「造るのは基地ではなく一時的な観測拠点。そこで100万年を超える古さの氷床コアを狙いたい」としている。(編集委員 芹沢伸生)

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