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【News撮】一子相伝 自然と寄り添い 300年の歴史「小鹿田焼」・大分

伝統・文化

【News撮】一子相伝 自然と寄り添い 300年の歴史「小鹿田焼」・大分

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親子で並んで小鹿田焼を作る坂本浩二さん(左)と拓磨さん =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影) 親子で並んで小鹿田焼を作る坂本浩二さん(左)と拓磨さん =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)
川を流れる水の力で杵を動かし、原土を細かくする「唐臼」 =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)
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川を流れる水の力で杵を動かし、原土を細かくする「唐臼」 =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「小鹿田(おんた)焼」

 大分県に伝わる300年の歴史をもつ焼き物だ。親から子へと技を伝える「一子相伝」を頑(かたく)なに守り続けており、国の重要無形文化財に指定される。

天日で乾かされる小鹿田焼。奥には登り窯が見える =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)
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天日で乾かされる小鹿田焼。奥には登り窯が見える =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 同県日田市源栄(もとえ)町に登り窯を構える小鹿田焼は、江戸時代中期に、日田の代官によって興されたといわれる。

 現在、町には10軒の窯元があり、そこで生み出される皿や壺は、土の香りのする素朴な雰囲気と、普段使いができる手ごろな価格で人気を集める。

素朴さとぬくもりを感じる茶碗や皿。毎日の食卓で使える雑器がメインで、手頃な価格も魅力だ =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)
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素朴さとぬくもりを感じる茶碗や皿。毎日の食卓で使える雑器がメインで、手頃な価格も魅力だ =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 日田市は、昨年7月の九州北部豪雨災害で、土砂崩れや浸水など大きな被害を受けた。

 川の流れを利用して、陶土を砕く「唐臼(からうす)」が破損。窯の周辺や原土を採取する山も崩落した。

「飛び鉋」の文様が皿に刻まれていく。刃の入れ方が難しいという =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)
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「飛び鉋」の文様が皿に刻まれていく。刃の入れ方が難しいという =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 6代続く窯元の坂本浩二さん(50)は、「続けていくことに対する厳しさを実感した」と話すが、周囲の励ましもあり、1年かけて唐臼を修復した。

 「『また元気な小鹿田がみたい』と声をかけられ、器を作ることで恩返しをしたいと感じた。感謝の思いを器にうつしていきたい」と笑顔を見せる。10月には「民陶祭」を開催、陶器を即売し復興をアピールする。

 息子の拓磨さん(23)は、高校を卒業後、本格的に作りはじめた。伝統を継ぐ重圧について「直接親からいわれたことはないです。焼き物しかないから」と淡々と話す。

共用の登り窯 =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)
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共用の登り窯 =大分県日田市源栄町(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「永く続けていくことなんで、気負ってなにかしようというのではない」という言葉に伝統に携わっていく覚悟がにじむ。

 工房では親子が並んでろくろを回すが、二人の間に特別な会話はない。聞こえるのは、ときおり響く「ぱしっぱしっ」と土をたたく音と、細い金属で器に文様をつける「飛び鉋(かんな)」の「ぶぶーっ」という音だけだ。

 「これまでも自然と一体でやってきた。困難もあるけれど、次のさらにその次の世代のことを思ってやっています」と話す浩二さん。

 これからも親から子へ脈々と受け継がれていく手仕事。失われつつある「伝統の継承」という歴史の重さを見せてもらった。(写真報道局 彦野公太朗)

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