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【KANSAI万華鏡】がんと戦うミクロの力 大阪重粒子線センター

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【KANSAI万華鏡】がんと戦うミクロの力 大阪重粒子線センター

更新 sty1806190013
がん細胞に照射する重粒子線を加速させる加速器「シンクロトロン」。LED電球の光跡で重粒子線の動きを表現した =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(写真4枚を比較明合成、沢野貴信撮影) がん細胞に照射する重粒子線を加速させる加速器「シンクロトロン」。LED電球の光跡で重粒子線の動きを表現した =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(写真4枚を比較明合成、沢野貴信撮影)
直径17メートルの加速器は、世界最小サイズだ =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(魚眼レンズ使用、沢野貴信撮影)
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直径17メートルの加速器は、世界最小サイズだ =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(魚眼レンズ使用、沢野貴信撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 赤や青の金属の塊が円を描くように並べられ、無数のパイプや配管が絡み合う。ゴーという音が響くと赤色灯が回転、物々しい雰囲気に包まれた。機密のベールに守られた、ハイテク工場に迷い込んだようだ。ここで生み出されるのは、「重粒子線」と呼ばれる放射線の一種。ミクロの力で、がん細胞を破壊する最先端の医療施設だ。

炭素イオン線を高速で回転させる加速器 =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(沢野貴信撮影)
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炭素イオン線を高速で回転させる加速器 =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(沢野貴信撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 3月1日、官庁が集まる大阪府庁と府警の間に「大阪重粒子線センター」が開院した。“切らずに治す”という、最先端のがん治療を行う施設で、全国で6カ所目となる。

 治療に使用する重粒子線は、炭素原子から取り出した「炭素イオン」を集めたもの。

 センターの中核にあるのが重粒子線を生み出す「シンクロトロン」だ。白く清潔な病院のイメージからは想像できない、厚さ約4メートルのコンクリートで囲まれた無機質な空間に、緑色の架台に設置された真っ赤な電磁石が直径17メートルの円を作る。

 電磁石の中央には、パイプが走り、その中を進む炭素イオンを、光速の約70%まで加速、重粒子線を得る。

炭素イオン線を高速で回転させる加速器の心臓部 =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(沢野貴信撮影)
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炭素イオン線を高速で回転させる加速器の心臓部 =大阪市中央区の大阪重粒子線センター(沢野貴信撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 隣接する治療室で、患者の患部に照射することで、がん細胞を破壊する。重粒子線によるがん治療は、がん病巣をピンポイントで狙い撃つことができ、組織へのダメージが少ないのが最大の利点。X線を使う一般的な放射線治療に比べ、正常な臓器へのダメージが少ないという。

 肉眼では見ることのできない重粒子線が回転するイメージを、LED電球の光跡で表現しようと試みた。シンクロトロンの上にLEDを取り付けて、2分で1周させる。浮かび上がった光跡が重粒子線の動きを描き出す。

 センターは現在、外来診療を行っており、10月からの重粒子線を使った治療に向けて、機械の調整などの準備を進めている。

 大阪の“ど真ん中”で始まる“切らずに治す”がん治療。最先端の医療技術の導入に期待が高まっている。(写真報道局 沢野貴信)

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