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〝忠猫〟伝説の町 山口県萩市

生き物

〝忠猫〟伝説の町 山口県萩市

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萩城跡の入り口そばのレンタサイクル店で、まるで〝看板猫〟のようにかわいがられている猫たち=山口県萩市(尾崎修二撮影) 萩城跡の入り口そばのレンタサイクル店で、まるで〝看板猫〟のようにかわいがられている猫たち=山口県萩市(尾崎修二撮影)
萩市内の公園で元気な姿を見せてくれた子猫。カメラのレンズに興味津々?=山口県萩市(尾崎修二撮影)
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萩市内の公園で元気な姿を見せてくれた子猫。カメラのレンズに興味津々?=山口県萩市(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 山口県萩市には、猫にまつわるなんとも切ない言い伝えがある。
 寛永2年、当地を治めていた長州藩の藩祖・毛利輝元が死去した際、主君を追って殉死した長井元房という武将がいた。
 彼には生前、かわいがっていた愛猫がいたのだが、その猫が元房の死後も墓所を離れず、主人の四十九日を迎えた日に、まるで後を追うように舌を噛んで死んでいた。後日、元房の屋敷を通る人の耳に、猫の鳴き声が聞こえたため哀れに思った寺の僧侶が供養したところ鳴き声が止み、その界隈が「猫町(ねこのちょう)」と呼ばれるようになった。…この話を地元の方から聞いて、猫という生き物に対する自身の思いを再認識した。

萩市の名産「夏みかん」に前足を乗せてポーズを決めてくれた子猫。〝大人の階段〟を順調に上って元気に育ってね!=山口県萩市(尾崎修二撮影)
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萩市の名産「夏みかん」に前足を乗せてポーズを決めてくれた子猫。〝大人の階段〟を順調に上って元気に育ってね!=山口県萩市(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「3日経てば恩を忘れる」など、情が薄いと言われることが多い猫だが、断じてそうではない。だからこそ、昔の人々も猫を身近に感じながら愛し、癒されて来たはずだ。
 そんな事をまたぞろ考えながら古い町並みを歩き、萩城跡の入り口付近にたどり着くと、土産物屋前のレンタサイクル店に目が止まった。受付の机の上で、2匹の猫が気持ち良さそうに昼寝をしていたのだ。男性の膝の上には、毛艶のいい三毛猫が抱かれている。

レンタサイクル店の〝招き猫〟

萩城跡の入り口そばのレンタサイクル店で、まるで〝看板猫〟のようにかわいがられている猫たち=山口県萩市(尾崎修二撮影)
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萩城跡の入り口そばのレンタサイクル店で、まるで〝看板猫〟のようにかわいがられている猫たち=山口県萩市(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「自転車貸してください!」とっさにそう話しかけると同時に、猫について話をうかがった。
 池部雅和さん(73)は「かわいいじゃろう!毎日癒されて過ごしよる。時には今のあんたみたいなお客さんを呼び込んでもくれるしの」と笑う。
 元々は、野良猫だった1匹の猫を面倒見ているうちに集まってきたといい、現在は5匹の猫が池部さんの〝相棒〟として暮らしている。
 慣れた手つきで猫にブラッシングを施す池部さんの目は、猫たちに対する思いやりに満ちていた。

萩城跡の入り口そばのレンタサイクル店で、まるで〝看板猫〟のようにかわいがられている猫たち=山口県萩市(尾崎修二撮影)
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萩城跡の入り口そばのレンタサイクル店で、まるで〝看板猫〟のようにかわいがられている猫たち=山口県萩市(尾崎修二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「公園の中にも猫が住みついとるよ。中には捨てられた子もおるし」と少し困った表情を浮かべた池部さんは「悪いのは猫じゃない、人間よ。だからできる限り守ってやらんと」と続けた。
 全ての猫が幸せに暮らせるように…などというのは夢物語でしかないのだろうが、少なくとも懸命に生きようとする命をないがしろにする行為は、やがて自分自身にはね返ってくるだろう。
 人間を嫌わず、リラックスした姿を見せる猫たちを大切に守りながら日々を過ごす人々がいる萩市。「ひょっとして、元房の〝忠猫〟がどこかで見守っているのかも、そうだといいなぁ」。空想にふけっていると、足下で「ニャー」と話しかけてくる子猫が。忠猫の子孫かも・・・そう信じたい。(写真報道局 尾崎修二)

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