産経フォト

全長297mのつり橋で愛を誓う 奈良県十津川村、移住者が結婚式 

イベント・祭典

全長297mのつり橋で愛を誓う 奈良県十津川村、移住者が結婚式 

更新 sty1704070016
「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影) 「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)

 奈良県十津川村谷瀬(たにぜ)にある日本一長い生活用鉄線橋「谷瀬のつり橋」(全長297メートル、高さ54メートル)で7日、村外から移住した新郎新婦のために住民が企画した結婚式が行われた。昭和29年に住民も出資して造られた橋は現在、年間約10万人が訪れる観光名所だが、結婚式が行われるのは初めて。30分間「通行止め」にされ村民ら約50人が見守る中、2人は手を取り合って橋を渡った。(石橋明日佳)

「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)
画像を拡大する
「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 挙式したのは、同県生駒市出身の黒岩大朗さん(35)と、大阪市阿倍野区出身の妻、良子さん(34)。社寺賄いとして十津川村の神社で働き始めたのを機に、平成26年10月に移住した大朗さんと、化粧品会社で10年間、スキンケアアドバイザーとして働いてきた良子さんが出会ったのは27年7月。良子さんが友人と観光で初めて村を訪ねたときだった。

「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)
画像を拡大する
「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 さまざまな仕事を経験した末、村での暮らしを選んだ大朗さん。一方、大阪市で生まれ育った良子さんは「田舎暮らし」にあこがれがあり、初訪問で十津川村に一目惚れ。「人間らしい暮らしをしたい」と退職し、28年3月に移住した。

 村は23年9月の紀伊半島豪雨で山間部の道路が崩落し、孤立する集落が相次いだ。人口減少にも拍車がかかり、谷瀬地区では「村おこしに地酒を造ろう」と、27年から酒米づくりを地区ぐるみで開始。大朗さんも休耕田を借りて参加し、翌年完成した地酒「谷瀬」は、良子さんが手伝うようになった「つり橋茶屋」で販売された。

 「生活観が似ていた」という2人は今年2月に入籍。地区にすっかり溶け込んだ若夫婦の誕生を住民は大歓迎し、有志約20人で「結婚を祝う実行委員会」を設立。かつて、新婦の親族らが嫁入り道具を持って橋を渡った風習を再現しようと、つり橋の上での挙式を計画した。地区内で結婚式が行われるのは約70年ぶりという。

「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)
画像を拡大する
「谷瀬の吊り橋」で初めて行われた結婚式 =7日午前、奈良県十津川村(彦野公太朗撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 この日は午前10時、白無垢姿の良子さんの手を地区総代の坂口哲夫さん(58)が引き、良子さんの親族らとともにつり橋の南端から北側の谷瀬地区へ。中央で紋付き袴(はかま)の大朗さんが迎え、良子さんの左手薬指に指輪をはめると、2人で手を取り合って橋を渡りきった。

 つり橋ができるまで、川の上に渡した人力ロープウエー「野猿」しか対岸に渡る手段がなかった谷瀬地区。現在暮らす37世帯57人のうち22人が65歳以上と過疎化、高齢化は深刻だが、豪雨後は村内の「安全地帯」として地元木材を使った住宅が建設されるなど、新たな展開も始まっている。若い移住者夫婦の誕生は、そんな“新しい風”の象徴ともいえる。

 大朗さんは「温かい人ばかりの村に、この式を機に注目が集まれば」、良子さんは「谷瀬の方が一丸となってこの式に協力して下さり、本当にうれしい。ここに移住して、本当に良かったです」と話した。

スゴい!もっと見る

瞬間ランキングもっと見る

話題のランキング