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タンチョウと“共生する”無人駅 北海道・釧網線の茅沼駅

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タンチョウと“共生する”無人駅 北海道・釧網線の茅沼駅

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タンチョウが駅のホームから線路に降りると、列車は静かに止まり、通り過ぎるのを待った =北海道標茶町(三尾郁恵撮影) タンチョウが駅のホームから線路に降りると、列車は静かに止まり、通り過ぎるのを待った =北海道標茶町(三尾郁恵撮影)
駅周辺を歩き回りながらエサをついばむタンチョウ =北海道標茶町(三尾郁恵撮影)
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駅周辺を歩き回りながらエサをついばむタンチョウ =北海道標茶町(三尾郁恵撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 「コゥ、コゥ、コゥ」

 釧路湿原にあるJR茅沼(かやぬま)駅(北海道標茶町)周辺に鳴き声が響いた。数羽のタンチョウはホームをわが物顔で歩き回りエサをついばんでいる。しばらくすると1両のディーゼル車が向かってきた。タンチョウは驚くこともなく線路に降り立つと、列車は手前で静かに一時停止、通り過ぎるのを待った…。

 JR釧網線では1~2月、観光列車「SL冬の湿原号」が走り、沿線には多くの鉄道ファンらが訪れる。中でも茅沼駅周辺は、SLとタンチョウの“ツーショット”を撮れる確率の高い場所として人気だ。

 昨年11月、JR北海道は路線の廃止・縮小を発表している。釧網線1キロあたりの1日平均利用客は500人ほど。JRは釧網線を「単独では維持することが困難な線区」に指定している。

 標茶町塘路でネーチャーガイドをする土佐武さん(38)は「列車で観光に訪れる人も多い。なくなってしまうのは困る」と心配そうだった。

「タンチョウの来る駅」として知られるJR釧網本線の茅沼駅。タンチョウたちがダンスを踊るように舞っていた =北海道標茶町(三尾郁恵撮影)
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「タンチョウの来る駅」として知られるJR釧網本線の茅沼駅。タンチョウたちがダンスを踊るように舞っていた =北海道標茶町(三尾郁恵撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 釧路湿原を中心とした北海道東部に留鳥として生息するタンチョウ。乱獲などの影響で明治末期には絶滅したとされた。しかし、大正時代に生息が確認されて以来、保護活動が進められてきた。

 茅沼駅では昭和39年、当時の駅長がタンチョウの餌場を設置。給餌は代々の駅員に引き継がれ、61年に無人駅化された後も周辺の民宿や商店の人たちが続けている。今、釧路湿原の個体数は千羽を超えた。

 タンチョウは古くから長寿や繁栄の象徴とされている。地域住民に愛される縁起のいい鳥は、ローカル線の小さな駅の“常連客”のようだった。 (写真報道局 三尾郁恵)

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 JRが発足して今年4月で30年。日本の鉄道風景を追う。(不定期連載)

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