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情景が創り出すジオラマアートの世界 奥川泰弘氏

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情景が創り出すジオラマアートの世界 奥川泰弘氏

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奥川泰弘氏の作品 Shady Summer's Afternoon Beachside Clothing Co. & 1934 Ford Pickup  1/24 scale 奥川泰弘氏の作品 Shady Summer's Afternoon Beachside Clothing Co. & 1934 Ford Pickup  1/24 scale
焼きたてパンの香りがただよってきそうな奥川泰弘氏の作品 Bakery in New York 1/12スケール
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焼きたてパンの香りがただよってきそうな奥川泰弘氏の作品 Bakery in New York 1/12スケールフルスクリーンで見る 閉じる

 焼きたてパンの芳ばしい匂いにつられ、ふらりと立ち寄ってみたくなる「ベーカリー」、海に出かけたら必ず有りそうな「海沿いの洋服屋さん」。実はこちら、全てジオラマなのだ。これらを手掛けるのは、奥川泰弘氏だ。

 奥川氏は模型を手掛ける人にはよく知られた存在で、ドイツの模型誌Modell Fanが主催するモデルデスヤーレス(モデルオブザイヤー)を2014年に受賞するなど、日本人モデラーとして海外からも注目を集めている。

 ジオラマ-DIORAMA、フランス語読みなのだが、日本語にすると「情景」という。

 このミニチュアの世界からアレコレ想像を膨らませ、思いを馳せるから「情景」というのか、奥川氏の生み出すジオラマを観ると、想像と共に懐かしい気持ちがこみ上げてくる。

ジオラマの魅力を語る奥川泰弘氏 (後藤徹二撮影)
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ジオラマの魅力を語る奥川泰弘氏 (後藤徹二撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 彼の作品には、いわゆる「フィギュア」が殆ど存在しない。見る側の想像力をかき立てるためなのだそう。「フィギュアを置くと、想像がそこで止まってしまう」というのだ。

 こういう演出が、見る人の気持ちに訴えかけ、奥川ワールドに引き込まれるのだろうか。

昔から建物が好き

奥川泰弘氏が高校生の時に描いた作品
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奥川泰弘氏が高校生の時に描いた作品フルスクリーンで見る 閉じる

 そんな奥川氏のこだわりは随所にちりばめられており、作品中に家屋や店舗などの「建物」が必ず配置されている。「昔から建物が好き」という奥川氏。どれくらい好きなのかというと、高校時代のイラストを見れば納得するだろう。授業中に書いたとは思えない秀逸な作品群に目を奪われる。そして、商品のポスターやチラシのように描かれているイラストは、その後広告業界に身を置き、デザイナーの道に進んだ奥川氏の将来を思うと、こちらも合点がゆく。

 広告業界に進み、あるきっかけから、再び「模型」の世界に没頭する。「父親が作る模型に夢中だった」という小学生時代から模型に触れる機会があったが、イラストの道を歩んでいたため数十年ぶりに模型の扉を、再び開いた。奥川氏は「大人になってからの模型の世界は、塗装や道具などの自由度が格段に上がり、のめり込むには時間が掛からなかった」という。ここから奥川氏のジオラマワールドが始まったのだ。ちなみにここで云う「あるきっかけ」とは、女性にふられたことらしい。

奥川泰弘氏がドイツの模型誌Modell Fanが主催するモデルデスヤーレス(モデルオブザイヤー)を2014年に受賞した賞状とメダル
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奥川泰弘氏がドイツの模型誌Modell Fanが主催するモデルデスヤーレス(モデルオブザイヤー)を2014年に受賞した賞状とメダルフルスクリーンで見る 閉じる

 彼の作品を見るとロス近郊のサンタモニカのビーチサイドやニューヨーク、ボストンの街角などアメリカの情景を色濃く再現しているものが多い。「憧れなんですよね、僕の情景はこうなのですが、地元の人が見たら違うかもしれない」と語る。確かにそうだ。実際に外国人が日本をとんでもない描写で表現していることもあるし、実際のところ、現地にこういう建造物が有るかどうかはわからない。まさに奥川氏の情景が創り出す世界を私たちは見ている、ということなのだろう。

Hang Loose! 1981 1/32スケール 「ランドスケープ・クリエイション2/大日本絵画」
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Hang Loose! 1981 1/32スケール 「ランドスケープ・クリエイション2/大日本絵画」フルスクリーンで見る 閉じる

 そこで日本の情景を作らないのか聞いてみると、様々な構想があるようで、かなり意欲的なものだった。しかしながら、「作りたいが、模型のパーツに“瓦”が無い」という。ある模型を扱うメーカーの担当者がインタビューに立ち会っていたので聞いてみると「瓦は無いですねー」と困惑顔。「今のところ奥川さんしかそのオーダーがないので、多分、、、生産は難しい」という。そうか、ジオラマは外国で発祥した娯楽。“瓦”を欲しがるモデラーは殆どいないだろう。しかも瓦は地域によって様々な種類がある。奥川氏のようなこだわりを持つ人が求める瓦を生産するのは至難の業だ。

 しかし、いつかこの瓦パーツが手に入れば「奥川氏による日本の情景」を観ることが出来るのだ、ぜひ立ち会っていただいた担当者S氏に開発の道筋を付けていただきたいと切に願う。

 奥川氏のブログ Doozy Magazine

作品の多くは大阪GLION MUSEUMにあるK's Collectionで展示販売されている
 ◆GLION MUSEUM はこちら◆

 ◆「ランドスケープ・クリエイション/大日本絵画」◆
 ◆「ランドスケープ・クリエイション2/大日本絵画」◆

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