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「南阿蘇鉄道」再開への道険し 費用30億円、復旧1年以上

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「南阿蘇鉄道」再開への道険し 費用30億円、復旧1年以上

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「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」付近をのんびり走る南阿蘇鉄道のトロッコ列車=2009年8月22日、熊本県南阿蘇村(芹沢伸生撮影) 「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」付近をのんびり走る南阿蘇鉄道のトロッコ列車=2009年8月22日、熊本県南阿蘇村(芹沢伸生撮影)
熊本地震で被災した南阿蘇鉄道。阿蘇大橋近くの立野駅周辺では、曲がったレールを大量の土砂が覆った =4月17日(南阿蘇鉄道提供)
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熊本地震で被災した南阿蘇鉄道。阿蘇大橋近くの立野駅周辺では、曲がったレールを大量の土砂が覆った =4月17日(南阿蘇鉄道提供)フルスクリーンで見る 閉じる

 熊本地震で線路や橋、トンネルが大きな被害を受けた第三セクター、南阿蘇鉄道(本社・熊本県高森町)が窮地に立たされている。本震があった4月16日から全線が運休。復旧に要する費用は少なくとも30億円と見込まれ、運行再開には1年以上かかるとみられている。一方で、同様に厳しい財政事情を抱える全国の三セク鉄道が「支援切符」の販売に乗り出すなど、薄日も差してきた。(吉國在)

南阿蘇鉄道の線路を覆う土砂崩れ =4月22日、熊本県南阿蘇村(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)
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南阿蘇鉄道の線路を覆う土砂崩れ =4月22日、熊本県南阿蘇村(本社ヘリから、竹川禎一郎撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 ■通院や通学の足

 南阿蘇鉄道は、旧国鉄高森線を継承し、同県南阿蘇村など沿線の自治体が出資する第三セクターとして昭和61年4月に運行を始めた。阿蘇高原一帯の高森(高森町)-立野(南阿蘇村)間を結ぶ計10駅(路線距離17.7キロ)を走る。

 熊本市や同県阿蘇市にある高校、病院へ通う学生や高齢者ら地元住民の足を支え、平成26年度の利用者は延べ約24万人。小さな機関車を前後につなげたトロッコ列車や、日本で最も長い14文字の駅名「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」が有名で、全国の鉄道ファンにも愛されている。

日本で最初の鋼製アーチ橋として知られる南阿蘇鉄道の「第一白川橋梁」=2009年8月21日、熊本県南阿蘇村(芹沢伸生撮影)
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日本で最初の鋼製アーチ橋として知られる南阿蘇鉄道の「第一白川橋梁」=2009年8月21日、熊本県南阿蘇村(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 震度7を記録した4月16日の本震では、立野-中松間の線路の一部が大量の土砂に埋もれ、レールが曲がった。特に甚大な被害が出たのは阿蘇大橋の崩落現場に近い南阿蘇村の立野-長陽間。2つのトンネルの壁に亀裂が入り、2カ所の橋で梁(はり)がゆがむなど、運行に致命的な損害を受けた。

「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅に進入する南阿蘇鉄道の単行気動車 =2009年8月22日、熊本県南阿蘇村(芹沢伸生撮影)
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「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅に進入する南阿蘇鉄道の単行気動車 =2009年8月22日、熊本県南阿蘇村(芹沢伸生撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 ■代替バスは臨時

 運休が利用者へ与えた影響は深刻だ。

 南阿蘇村下野の自宅から鉄道を利用して通学していた県立高森高3年の松本菜央さん(17)は現在、父親が仕事の合間を縫って車で高校まで迎えに来るという。「親も大変だから負担をかけたくないけれど、部活の後に2時間以上待たされるのは正直つらい」とこぼし、「卒業前に3年生みんなでトロッコ列車に乗る恒例行事を楽しみにしていたのに」。

日本一名前の長い駅として有名な「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」。人の気配のない駅舎近くにはレンゲが咲き誇っていた =4月26日、熊本県南阿蘇村(安元雄太撮影)
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日本一名前の長い駅として有名な「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」。人の気配のない駅舎近くにはレンゲが咲き誇っていた =4月26日、熊本県南阿蘇村(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 熊本市内の病院への通院などに利用していた岩下トシ子さん(91)も「子供のころからよく使っていた思い入れのある列車。早く元通りになってほしい」と話した。

 高森町と南阿蘇村は9日から共同で、高森駅-JR肥後大津駅などの4区間で代替バスの無償運行を始める予定。ただ、学校が夏休みに入る前までの臨時措置で、それ以降も続行するかどうかは未定だ。

日本一名前の長い駅として有名な「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」 =4月26日、熊本県南阿蘇村(安元雄太撮影)
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日本一名前の長い駅として有名な「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」 =4月26日、熊本県南阿蘇村(安元雄太撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 ■復興切符を発売

 南阿蘇鉄道の担当者は「赤字続きながら地震までは何とかやってこられたが、巨額の復旧費用を自社で確保するのは難しい」と苦渋の表情をみせる。運行再開に向けた見通しはほとんど立っていないが、4月25日からホームページで復旧義援金を募り始め、これまでに全国から約600万円が寄せられたという。

三セク4社が販売する復興祈念切符(上部が表、下部が裏)(ひたちなか海浜鉄道提供)
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三セク4社が販売する復興祈念切符(上部が表、下部が裏)(ひたちなか海浜鉄道提供)フルスクリーンで見る 閉じる

 また、同じ三セクの由利高原鉄道(秋田)▽ひたちなか海浜鉄道(茨城)▽いすみ鉄道(千葉)▽若桜鉄道(鳥取)-の4社は、4月29日から駅入場券と南阿蘇鉄道の乗車券をセットにした「復興祈念切符」(千円)を販売。うち700円を南阿蘇鉄道への支援金に充てる。

 

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