日米の絆、深化の弾みに、米戦闘機71年ぶり返還で記念式典、大分・佐伯
更新 sty1603060020
先の大戦で撃墜され、大分県佐伯市が保管していた米戦闘機のエンジンやプロペラを米国に返還するため、市は6日、同市内で返還記念式典を開いた。機体は71年ぶりに里帰りし、母艦を改修した米ニューヨークの博物館で展示される。式典に出席した日米両国の関係者からは、機体が友好の架け橋となり、両国の絆が一層深まることに、期待の声があがった。(村上智博)
機体は、米艦上戦闘機「F4U-1Dコルセア」。
同機の編隊は、昭和20年3月18日、旧日本海軍の航空隊基地を空襲した。日本側は対空砲火で応戦し、同機は佐伯湾に撃墜された。

それから、半世紀の時が流れた。平成7年、同機の残骸を地元の戦争遺構研究グループ「歴進会」元会長、河野豊氏(65)らが海から引き揚げ、「市平和祈念館やわらぎ」で保管してきた。だが、河野氏らは戦後70年の節目を迎えたことをきっかけに、同機を米国側に寄贈し、日米関係の進展に役立ててはどうかと市に提案し、市はそれを受け入れた。
寄贈先は米ニューヨークの「イントレピッド海上航空宇宙博物館」だ。同機の母艦だった艦船を、退役後に改修して設置された。米側も同機の引き渡しを快諾し、この日の式典に臨んだ。
佐伯市の西嶋泰義市長は「両国の戦没者の犠牲の上に、今の平和、繁栄がある。戦後70年の時を越え、同機が、(墜落によって)亡くなった米少尉の遺骨代わりに祖国に返還されるのは、万感の思いだ。米国には平和の象徴として展示してもらいたい」とあいさつした。
これに対し、在福岡米国総領事館のユーリー・フェッジキフ首席領事が「日米は敵対国から、今や、揺るぎない同盟国となった。自由、民主主義、法の支配といった価値観も一致する。同機が米博物館に展示されるのは、日米友好の象徴だ」と謝辞を述べた。