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被災地から 陽光受けて輝く“碁石” 岩手県大船渡市「碁石海岸」

東日本大震災

被災地から 陽光受けて輝く“碁石” 岩手県大船渡市「碁石海岸」

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碁石のような石が続く大浜。津波にも耐えて以前と変わらない姿を保っている =岩手県大船渡市(松本健吾撮影) 碁石のような石が続く大浜。津波にも耐えて以前と変わらない姿を保っている =岩手県大船渡市(松本健吾撮影)

 碁石のように平らで丸い石が敷き詰められた渚に波が打ち寄せる。陽光が差し込むと、ぬれた石がキラキラと輝いた。岩手県大船渡市にある「碁石海岸」は、真冬でも穏やかな空気に包まれていた。

 碁石海岸は末崎半島先端に位置する約6キロの海岸線を総称で、リアス式の断崖絶壁と優美な松林が織りなす景勝地。中でも、大浜と碁石浜は波に磨かれた玉砂利が特徴だ。平成23年3月11日、一帯は大きな揺れと津波に襲われた。大浜は大きな被害を免れたが、碁石浜には10メートルを超える津波が押し寄せ、周辺の民家や漁船を押し流した。

 碁石浜で民宿を営む、大和田弘樹さん(49)は津波を目の当たりにした。「水かさがゆっくり上がったと思ったら、たらいから水があふれるように(一気に)防潮堤を越えた。高台に走って逃げたが民宿と自宅は飲み込まれた」。

 津波がひいた後、荒れ果てた民宿の料理場に戻ると愛用の包丁箱が奇跡的に残っていた。運命を感じた。心配するお客さんからは支援物資が何カ月にもわたって届いた。悩んだ末に大和田さんは答えを出した。「もう一度、やろう」。25年冬、同じ場所を8メートルかさ上げし民宿を再建、営業再開に踏み切った。

末崎半島の沖合にはワカメの養殖縄が下がったブイが並ぶ。漁師たちは寒風吹きすさぶ中、黙々と作業を続けていた =岩手県大船渡市(松本健吾撮影)
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末崎半島の沖合にはワカメの養殖縄が下がったブイが並ぶ。漁師たちは寒風吹きすさぶ中、黙々と作業を続けていた =岩手県大船渡市(松本健吾撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 碁石浜周辺は、地震に伴う地盤沈下や防潮堤建設などで、震災前と比べ景観が大きく変化している。沖にはワカメ養殖縄のブイが無数に並ぶ。多くは津波で流されたが、波間の風景は元の姿に戻りつつある。

 「海のことは恨んでいないさ。怖いけどね。自然と調和して生きることが大事なんだ」。ワカメ漁師の熊上安夫さん(65)は海原を見つめながらつぶやいた。(写真報道局 松本健吾)

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