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丸い地形はUFOの隠れ家? 三重県熊野市・木津呂集落

自然・風景

丸い地形はUFOの隠れ家? 三重県熊野市・木津呂集落

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丸い地形で目を引く木津呂集落。曲がりくねる川と同様、一帯は県境も入り組んでいる。木津呂集落は三重県熊野市だが対岸の撮影地は和歌山県新宮市だった(川口良介撮影) 丸い地形で目を引く木津呂集落。曲がりくねる川と同様、一帯は県境も入り組んでいる。木津呂集落は三重県熊野市だが対岸の撮影地は和歌山県新宮市だった(川口良介撮影)

 撮影地を探して山中を歩くこと1時間半。尾根から斜面を下ると急に視界が開け、眼下には川にぐるりと取り囲まれた、丸い島のような地形が広がっていた。

木津呂集落で見かけた猿。鹿やイノシシにも遭遇した(川口良介撮影)
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木津呂集落で見かけた猿。鹿やイノシシにも遭遇した(川口良介撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 三重県熊野市の木津呂(きづろ)集落は、北側の一部以外を北山川が取り囲み、馬の蹄鉄のような形になっている。住人はわずか11人。人よりも鹿やイノシシ、猿のほうが多いともいわれる。川を往来する観光ジェット船のエンジン音以外に聞こえるのは、鳥のさえずりや吹き抜ける風の音など、自然が奏でるものばかりだ。

 かつて、北山川の主役は筏師が操る筏だった。その歴史は古く慶長9(1605)年、徳川家康が江戸城本丸を建てた際に、北山材と呼ばれる一帯のスギやヒノキを使用したとの文献も残る。上流のダム建設や道路整備などに伴い、昭和30年代後半に姿を消すまで約600年間続いたといわれる。

 木津呂集落にも多くの筏師が暮らしていた。西栄一郎さん(90)も、その1人。奈良、三重、和歌山の3県にまたがる峡谷・瀞峡(どろきょう)にある、現在の田戸乗船場(奈良県十津川村)付近から北山川を下り、熊野川と合流して新宮まで約45キロ。大きくカーブする木津路付近は難所だった。新宮からの帰りは徒歩で2~3日。西さんは「対岸から丸い木津呂の村を見ると『帰ってきたな』という感じだった」と懐かしむ。

 木津呂集落の全景を見渡せる対岸は和歌山県新宮市の嶋津地区。自主的に「観光協会」を立ち上げ、希望があれば観賞ポイントのガイドもこなす平野皓大さん(50)は「地中に埋まったUFOが飛び立ちそうな感じに見えませんか?」と真顔で話す。“未知との遭遇”を期待する観光客が、過疎化に悩む木津呂の活性化に一役買う日は近いかもしれない。(写真報道局 川口良介)

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