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【大山文兄のV1ウオッチ♯17】「新月旗の初飛来」

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【大山文兄のV1ウオッチ♯17】「新月旗の初飛来」

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V1スポットに駐機するトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR)と、迎賓室前に掲げられた日の丸とトルコ旗 =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影) V1スポットに駐機するトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR)と、迎賓室前に掲げられた日の丸とトルコ旗 =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
RW34RにランディングしV1スポットを目指すトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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RW34RにランディングしV1スポットを目指すトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 7日午後、トルコのエルドアン大統領夫妻が実務訪問賓客として来日しました。エルドアン氏の来日は首相だった2014年1月以来、大統領としては初めてとなります。今回の訪日では来月中旬トルコで開かれるG20(20カ国・地域首脳会議)に向けた事前調整、隣国シリアの難民問題などについて安部首相と意見を交わす見通しです。

V1スポットに駐機するトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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V1スポットに駐機するトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 今回のエルドアン大統領の来日に使用された政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR)ですが、2011年の就航後、日本には初飛来ということもあり、航空ファンの間ではかなり注目されていた機体です。ところが取材に訪れた日本メディアは産経と日本放送協会のみの寂しいお出迎え。まるで代表撮影のようです。そして撮影位置は私が苦手な機側からの撮影です。何が苦手かというと機体が到着したら機側位置まで移動しなければならず、機体をゆっくりと撮影できないのです。

迎賓室前にはエルドアン・トルコ大統領夫妻の到着を待つ出迎えの人たちがズラリ =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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迎賓室前にはエルドアン・トルコ大統領夫妻の到着を待つ出迎えの人たちがズラリ =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 しかしエルドアン大統領夫妻、1泊2日の来日なんですがVIPゲート前にはものすごい数の車両と人、人、人。一体何人がお出迎えに来たのか分かりませんが、ちょっと初めてみる光景でした。そして女性も多く、もう日本ではあまり嗅いだことのない甘い香りがVIPゲート前に漂います。そして喫煙率。メチャクチャ高いですね。いつもは日本人の喫煙者がコソコソと車の後ろでたしなんでいるのですが、私が喫煙しているのを見つけた途端、もう次から来るわ来るわ。私の車周辺が簡易喫煙所状態になってしまいました。しかしポイ捨ては良くないですね。

RW34RにランディングしV1スポットを目指すトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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RW34RにランディングしV1スポットを目指すトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)フルスクリーンで見る 閉じる

 政府専用機は予定通りRW34Rにランディング。トルコをイメージさせるホワイトとレッドの2色のカラーリングが真っ青な秋晴れに映えます。機首から伸びる2本のラインは緩やかにカーブしながら尾翼部に続き、シンプルななかに躍動感を与えています。そして真っ赤に描かれた尾翼はまさにトルコ国旗。白抜きされた新月と星のマークがこれでもか!って大きさです。ターミナルで撮影された方々は良い写真が撮影できたのではないでしょうか。うらやましいです。V1からはいつものようにターミナルに隠れてしまいました。

RW34RにランディングしV1スポットを目指すトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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 伝統的な親日国として知られるトルコですが、V1スポットに到着したトルコ機を見あげながら「奇跡」と呼ばれたテヘランからの在留邦人救出劇を思い出しました。1985年3月、イラン・イラク戦争のさなか、イラク政府は「イラン上空を航行するすべての航空機はイラク空軍の攻撃対象となる」との声明を突如発表します。テヘランで孤立した在留邦人215人を救出するためメヘラバード空港(テヘラン)に向かったのは、トルコ政府が派遣した2機のトルコ航空特別機でした。

 イラク政府の突然の声明発表。そして実行されるまでのタイムリミットは48時間しかありませんでした。当時、日本政府は政府専用機を保有しておらず、日本航空もテヘランへの直行便はありません。他国のフラッグシップも自国民を搭乗させ救出させるだけで精いっぱいです。そして日本政府は日本航空に特別機の手配と邦人救出を頼みます。しかし日本航空は労組側の強い反対により断念します。「日本からの救出は来ない…」絶望に打ちひしがれる邦人たちを救出してくれたのがトルコ政府でありトルコ航空だったのです。

政府専用機で来日したエルドアン・トルコ大統領夫妻 =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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 このときの逸話として、トルコ航空は派遣する特別機2機のパイロットを指名するのではなく、志願者として募りました。戦火の中、トルコ国民ならまだしも日本人救出に命を賭けなければなりません。しかしその場にいたパイロット全員が手を上げ志願したそうです。実現はしませんでしたが、もし日本航空が特別機の派遣を決定していたとしても、パイロットたちはきっと在留邦人救出のため手を挙げたのだろうと思うのですが…。

 なぜトルコ政府は日本人救出のために特別機を派遣してくれたのか。その理由は後になって判明します。もちろん日本政府、駐在員らの働きかけがあったと思います。しかしトルコ政府は95年前(1890年)の感謝を忘れていませんでした。それは和歌山県串本沖で遭難した「エルトゥールル号遭難事件」です。当時、日本訪れていたオスマン・トルコ帝国の使節団約600人をのせた軍艦エルトゥールル号は、横浜港からの帰路の途中、台風により座礁し水蒸気爆発で沈没します。このとき沿岸住民が総出で救出を行い、トルコ人乗組員69人を救助、日本の巡洋艦でトルコまで送還しました。後に日本全国からは弔慰金が集められ、トルコの遭難者家族に届けられたそうです。

V1スポットに駐機するトルコ共和国政府専用機(エアバスA330-200・機体番号TC-TUR) =7日午後、羽田空港(大山文兄撮影)
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 そんな日本人が忘れていた海難事件を、トルコ政府トルコの人たちは感謝として忘れてはいませんでした。そして1985年の邦人救出という形で95年前の感謝を表してくれたのです。その後もトルコ地震、東日本大震災など、お互いの国に対し最大限の支援を続けています。日本人が親日国と思っていたとしても、リーダーが変わった途端に手のひらを返す国々が多い昨今。金銭的な繋がりだけではなく、トルコとは「義」で結ばれているのではないでしょうか。もしトルコ国民がテヘランに取り残された邦人と同じ境遇となったとき、日本政府はどのような対応をとれるのか。脚立の上に立ちながら考えたのでした。(写真報道局 大山文兄)

2015年10月7日のまとめ
●トルコ共和国・政府専用機
搭乗者:レジェップ・タイップ・エルドアン・トルコ共和国大統領
運行:トルコ政府
使用機材:Airbus A330-200
機体番号:TC-TUR
コールサイン:トルキッシュ・リパブリック・ワン(TRK1)
使用滑走路:RW34R
スポット:V1(スポットイン15:31)

☆V1ウオッチ全編は 【コチラから】

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