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ドキュメント南極観測43 アデリーペンギンその5

生き物

ドキュメント南極観測43 アデリーペンギンその5

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アデリーペンギンの成鳥が寄ってたかって1羽のヒナをいじめることも。原因は分からなかった=2011年1月21日、南極・昭和基地の南約20キロのラングホブデ・水くぐり浦(芹沢伸生撮影) アデリーペンギンの成鳥が寄ってたかって1羽のヒナをいじめることも。原因は分からなかった=2011年1月21日、南極・昭和基地の南約20キロのラングホブデ・水くぐり浦(芹沢伸生撮影)

 ペンギンが激怒するのは、どんな時だろうか。巣作りに必要な小石の奪い合い、卵やヒナを狙って襲撃してくるナンキョクオオトウゾクカモメとの戦いなど、理由はさまざまだ。

 頭を三角にして白目を大きくし、フリッパーと呼ばれる翼の部分を手の様に使い、たたき合う姿は、まるで殴り合う人間のよう。ひとたび、バトルが始まると、ぶつかりあう音や叫び声が、静かな極地に響きわたった。

 まず驚くのは、相手を威嚇するときの格好。首を斜めにしながら近づき、にらみ合う姿は、やくざ映画のそれとイメージが完全にダブった。その後、取っ組み合いになると、簡単には収拾がつかないことが多かった。他のペンギンの巣なんておかまいなし。ヒナがいたって関係なし。縦横無尽にルッカリー(集団繁殖地)の中を追ったり追われたりしながら、そこかしこでケンカを続けていた。

 当然、他のペンギンにはいい迷惑。だが、キレた奴らを説得するのは無理といった感じで無関心を装いながら、ひたすらことが収まるのを待っていた。

 相手をたたく時のフリッパーの速さは相当なもの。「バタバタバタバタ…」とリズミカルな音が響いたかと思うと、あたりには無数の毛が漂う。そこには「手加減」などという言葉は、存在しないかのようだった。

 ペンギンの“暴力沙汰”で一番驚いたのは、複数の成鳥が一羽のヒナを寄ってたかって、つつきまくっていたとき。“大人”たちは、かなりの剣幕で追い回しており、逃げるヒナの必死さも伝わってきた。

 一体、何があったのだろうか…。

(芹沢伸生)

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