産経フォト

幸せの看板猫、その名も「ハッピー」 北海道・小樽市

生き物

幸せの看板猫、その名も「ハッピー」 北海道・小樽市

更新 jnl2003240004
ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。窓に近い大きなテーブルの上でゴロリ =北海道小樽市(撮影・尾崎修二) ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。窓に近い大きなテーブルの上でゴロリ =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)キヤノン EOS-1D X Mark Ⅱ:EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM
雪化粧の小樽運河エリア。倉庫街とともに小樽を代表する観光スポットだ =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)
画像を拡大する
雪化粧の小樽運河エリア。倉庫街とともに小樽を代表する観光スポットだ =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)キヤノン EOS R:EF24-70mm F4L IS USMフルスクリーンで見る 閉じる

 明治、大正時代の石造倉庫群と、運河が作り出すレトロな街並みで国内外から多くの観光客を集める北海道・小樽市。
 豊かな海の幸を楽しめる名店が立ち並ぶ寿司屋横丁で少しぜいたくなランチを、と立ち寄った「おたる政寿司本店」で「近所の美容室に猫がいますよ」との情報。

ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。飼い主・近藤理佳さんの腕に抱かれて甘える仕草を見せる =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)
画像を拡大する
ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。飼い主・近藤理佳さんの腕に抱かれて甘える仕草を見せる =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)キヤノン EOS R:EF24-70mm F4L IS USMフルスクリーンで見る 閉じる

 至高のネタと究極の技が織りなす握りを頬張りながら“絶品のネタ”を仕入れることに成功した肉球マニアカメラマン。食後、すぐに電話でアポを取り「猫取材」の許可を頂いた。
 猫の世話をしているのは近藤理佳さん(48)。東京で8年間美容師として勤めた後、現在は母親の順子さんとともに「ヴィーナス美容室」を営んでいる。当地で明治から営業する老舗だ。

ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。窓に近い大きなテーブルの上から小樽の街を眺める =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)
画像を拡大する
ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。窓に近い大きなテーブルの上から小樽の街を眺める =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)キヤノン EOS R:EF24-70mm F4L IS USMフルスクリーンで見る 閉じる

 「昭和」から「平成」そして「令和」と長きに渡り小樽を見守り続ける順子さんは「日本を代表する映画スターや大女優も数多くいらっしゃったのよ」そうそうたる名前を挙げながら懐かしそうに目を細めた。
 そんな会話に、耳を傾けるかのようにテーブルの上に鎮座するハッピーくん(雄9歳)の姿。
 「保護したときは約185グラム、弱りきって瀕死(ひんし)の状態でした」と理佳さん。「この子のためならいくらでも出すから助けて!」と獣医に懇願したという。1カ月以上の入院を要したものの思いは届き、すくすくと健康に成長したハッピー、今では6キロ超の「わがままボディー(理佳さん談)」を手に入れた。

ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。店内で自由に過ごす =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)
画像を拡大する
ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。店内で自由に過ごす =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)キヤノン EOS R:EF24-70mm F4L IS USMフルスクリーンで見る 閉じる

 大きな窓からの光で明るい店内を自由に歩き回るハッピーはとても人懐こい。常連のお客さんの膝の上で昼寝をすることもしばしば。猫好きの人にしてみれば「まるで猫カフェで髪をセットしているみたい」なのではなかろうか。
 取材前、カメラマンもハッピーの熱烈歓迎を受けた。カメラの吊りひもなどが気になったらしく、入念なボディチェック、所持品検査は10数分に及んだ(笑)。

ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。カメラバッグを入念に検査した後、「OKだニャ」とカメラ目線 =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)
画像を拡大する
ヴィーナス美容室の看板猫「ハッピー」。カメラバッグを入念に検査した後、「OKだニャ」とカメラ目線 =北海道小樽市(撮影・尾崎修二)キヤノン EOS R:EF24-70mm F4L IS USMフルスクリーンで見る 閉じる

 しかし撮影タイムになるとハッピーは驚くほどのモデルぶりを発揮した。目線の送り方、ポージング、時折聞こえる小さなつぶやき声…。撮影のリズムを判っているかのようだった。終わってみれば「撮った」のではなく「撮らされた」ような気もするが、写真が良ければ全て良し。
 ハッピーは「OK?それじゃ僕はこれで」とばかりに理佳さんに抱きついて甘えながら日常生活へと帰っていった。
 そう、小樽の街の日常を、美容室の窓越しに見つめ続けてきた猫は、その名の通りハッピーで、その姿を見た道行く人の心にも幸運を届ける「幸せの看板猫」に違いない。(写真報道局 尾崎修二)

【取材後記】

 取材当日は3月中旬。強い寒波による大雪が降り、小樽市内は瞬く間に真っ白く染め上げられた。市街地や港にも多くの猫が暮らしているという。その多くは、飼育の放棄や遺棄された子たちが繁殖を繰り返すことによって、増えているのだという。暖かい地方ならいざしらず、北海道の屋外生活は、あまりに過酷だ。そんな状況を憂い、NPO法人と連携しながら近藤理佳さんも猫の保護、順化、譲渡といった活動に力を注いでいる。ハッピーがくれる幸せを、可能な限り多くの猫たちにも分かち合いたいという、切なる思いが強く伝わってきた。

企画制作:産経デジタル