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華麗に舞う嫌われ者 福島市街地のムクドリ 共存の道遠く

時事

華麗に舞う嫌われ者 福島市街地のムクドリ 共存の道遠く

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夕暮れ時、集団で飛ぶムクドリ =福島市(芹沢伸生撮影) 夕暮れ時、集団で飛ぶムクドリ =福島市(芹沢伸生撮影)キヤノン EOS Kiss X8i:EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM
夕暮れ時、集団で飛ぶムクドリの向こうに細い月が… =福島市(芹沢伸生撮影)
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夕暮れ時、集団で飛ぶムクドリの向こうに細い月が… =福島市(芹沢伸生撮影)キヤノン EOS Kiss X8i:EF70-200mm F2.8L IS USM+エクステンダー 1.4×フルスクリーンで見る 閉じる

 秋深まる夕暮れ時の福島市。JR福島駅周辺の市街地では、市民の「天敵」とも言えるムクドリの大群と人間との“バトル”がピークを過ぎ、落ち着いた雰囲気を取り戻しつつある。ただ、ムクドリの鳴き声と糞(ふん)は、多くの住民にとって耐え難い“公害”となっており、関係者は対応に苦慮している。

空埋める大群

 福島市の中心部には毎年夏から秋にかけ、ねぐらを求めてムクドリが群れでやってくる。福島市の「小鳥の森」には平成22年10月の調査結果で2万5000羽という記録が残る。小鳥の森のレンジャー、増渕翔太さんは「現在も同じくらいの数では」とみる。

夕暮れ時、ねぐらの街路樹にとまるムクドリ =福島市(芹沢伸生撮影)
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夕暮れ時、ねぐらの街路樹にとまるムクドリ =福島市(芹沢伸生撮影)キヤノン EOS Kiss X8i:EF-S 55-250mm F4-5.6 IS STMフルスクリーンで見る 閉じる

 ある日の夕方、JR福島駅近くでムクドリの集団に出くわした。空を埋め尽くす黒い集団の動きは素早く、一瞬で形を変えながら縦横無尽に空を舞った。時には海原を泳ぐクジラのシルエット、あるときは極地の空を覆うオーロラの動きを早送りしたようにも見えた。

 ずっと見ていても飽きない見事なパフォーマンス。15分ほどすると、一団は街路樹に急降下。今度は枝にとまり「キュルキュル…」と、大音量で鳴き始めた。

 増渕さんによると「ムクドリは猛禽(もうきん)類などの天敵から身を守るため、群れで街中に住む『都会派』の留鳥」という。春に巣作りして繁殖期が終わると群れで行動する。夕方、集団で飛ぶことを「ねぐら入り」といい、天敵がいないか確認しているのだという。

絶えない苦情

 ムクドリの鳴き声は夜が更けても騒々しく、糞は街路樹の下の歩道や車を白く染める。歩行者は直撃の危険もある。糞は乾燥すると風に舞う。雨でぬれると、ひどい悪臭を発する。

ムクドリ対策で剪定された街路樹 =福島市(芹沢伸生撮影)
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ムクドリ対策で剪定された街路樹 =福島市(芹沢伸生撮影)キヤノン EOS Kiss X8i:EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMフルスクリーンで見る 閉じる

 県や市などには苦情が絶えず、ねぐらになる街路樹の管理者は枝の剪(せん)定(てい)などを行っている。枝や葉がない木では身を隠せずムクドリがねぐらにしないからだ。福島の市街地では大胆に枝を切られた街路樹が珍しくない。

 だが、ねぐらを奪われた鳥たちは場所を移して同じことを繰り返す。そこで苦情が出ると、また追い払う…。そんな、いたちごっこが毎年続いている。ムクドリの被害は静岡市や名古屋市など全国で報告されており、各地の行政機関が対応に苦慮している。

見えない糸口

 街路樹の管理は国、県、市などがそれぞれ行う。福島駅の植え込みなどを管理する福島市交通政策課は、振り回して鳥の視覚を混乱させる「まとい」状の道具を使う。しかし「追い払っても戻ってくる。決定打にはならない」と担当者。

夕暮れ時、鉄塔にとまる無数のムクドリ =福島市(芹沢伸生撮影)
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夕暮れ時、鉄塔にとまる無数のムクドリ =福島市(芹沢伸生撮影)キヤノン EOS Kiss X8i:EF70-200mm F2.8L IS USMフルスクリーンで見る 閉じる

 市街地を南北に走る国道13号の街路樹を管理する国土交通省福島河川国道事務所は「いつどこにくるかも分からない。剪定と糞の掃除が作業の基本。これしかない」(道路管理課)という。県道の管理は県北建設事務所が行っている。

 道路の管理者らは「根本的な解決方法は見当たらない」と口をそろえ、解決の糸口は見えない。増渕さんは「ムクドリも自然の中の一員。難しいが共存の道を探れれば…」と話す。(福島支局 芹沢伸生)

企画制作:産経デジタル