産経フォト

スコットランド王国 揺籃の石造【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

遺跡・建造物

スコットランド王国 揺籃の石造【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

更新 pnr1903270001
スコットランド王国 揺籃の石造【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

 スコットランド中西部沿岸は、氷河によって創り出されたフィヨルドの入り組んだ海岸線の連続で、ここは湖なのか入江なのかの判別が難しい。シングルモルトで有名なオーバンからフィヨルドを南下すると、半径十キロほどのキルマーティン峡谷が広がっている。ここには、新石器から中世まで350もの遺跡が集積し、様々な形式の墓が数千年にわたっている。アイルランド北東部から六世紀に移住したスコット族のダルリアダ王国の中心地で、のちのピクト人と融合してスコットランド王国揺籃の地なのである。

 最も古いのがテンプルウッド・ストーンサークルで、紀元前三千年代から建設のはじまったケルン(共同墓)が、五十近く残っている。なかにはサークルの中一杯に敷石が非常にいい状態のものもある。ストーンサークルと言えば、同島英国のストーンヘンジを思い浮かべるかたが多いと思うが、ここはあれほどの巨石ではなく、規模は小さい。が、ストーンヘンジ1000年の倍以上2500年もの間、宗教施設として機能していたのである。

 また、テンプルウッド周辺の平原には、ポツリポツリと立石があって、2つの列石が並行したバリミーノフ遺跡の片側四つ並んだ石の先には、冬至の日の出が昇る方向に配置されている。一説には月の運行と関連して語られることがあるが、世界各地に散らばったストーンサークルは、人類共通の石の記憶であり、心の故郷のように僕は親しみを抱いている。(文・パノラマ写真 白洲信哉氏)
(撮影機材:リコー THETA S )

白洲信哉(しらす・しんや) 白洲信哉(しらす・しんや)  文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。最新刊「旅する舌ごころ」(発行・誠文堂新光社)発売中。 

スゴい!もっと見る

瞬間ランキングもっと見る

話題のランキング