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海を渡った日本酒 英ケンブリッジ【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

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海を渡った日本酒 英ケンブリッジ【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

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海を渡った日本酒 英ケンブリッジ【白洲信哉「旅と美」360°パノラマ】

 訪日観光客3000万人を超え、この5年の輸出額は倍増し、すでに海外では「SAKE」として、着実に市民権を得て、世界中で味わえるようになりつつある日本酒は、いよいよ海外で醸造する時代に入っている。

 昨年10月には、英国ロンドンから北へ約100キロにある学園都市ケンブリッジの郊外10万坪という広大な敷地に、大阪にある堂島麦酒醸造所を母体とする堂島酒醸造所(Dojima Sake Brewery)が、ヨーロッパ初の日本人経営の酒蔵がオープンした。

 堂島酒醸造所は、大阪高槻市富田町創業200年の造り酒屋「寿酒造」の次男として、実家の酒造りを支え、地ビール「北新地」の醸造などの経験を生かした橋本良英さんが、人生最後の仕事として、まだ誰も進出していなかった欧州に日本酒を広め、業界の底上げをはかることを目的に設立した。  

 原料の米は、山田錦と秋田酒こまちを使用し、水は井戸からくみ上げた硬水を軟水処理し、麹菌や酵母菌を日本から輸入している。基本は精米歩合70%の「堂島」と、古式造りの「懸橋(ケンブリッジ)」の2種で、オープン記念として500本限定英国大使命名の「隗(かい)」がある。

 価格は1000ポンド!と挑戦的だが、高級化こそが、SAKE市場には欠かせない戦略との信念と一方で、単なる醸造施設に留まることなく、熱意ある海外のかたに醸造技術を伝えるためのスクール設立が、本プロジェクトの大きな眼目となっている。

 今後は、18世紀の重要建造物指定されているマナーハウスにおいての試飲会や、日本から陶芸家を招き、現地で酒器などを作陶するなど、日本文化の発信拠点として、さまざまなイベント開催予定で、日英の新たなる懸橋となることが期待されている。(文・パノラマ写真 白洲信哉氏)
(撮影機材:リコー THETA S )

白洲信哉(しらす・しんや) 白洲信哉(しらす・しんや)  文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。最新刊「旅する舌ごころ」(発行・誠文堂新光社)発売中。 

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