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断崖に連なる「一二三の鳥居」【360°パノラマ】

伝統・文化

断崖に連なる「一二三の鳥居」【360°パノラマ】

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断崖に連なる「一二三の鳥居」【360°パノラマ】

 海に沿って続く切り立った断崖。崖の上から海に向かい、100メートル以上にわたって赤い鳥居が並ぶ。山口県長門市油谷津黄にある元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社の風景には圧倒される。

 「壮大な景観は龍神のなせるわざ」と、険しく複雑な地形は古くから一帯に住む人たちの信仰を集めていた。さらに昭和30年、不思議な出来事が起こった。地域の網元、岡村斉さんの枕元に白狐が現れ、こう告げたのだ。「これまで漁をしてこられたのは誰のおかげか。吾をこの地に鎮祭せよ」

 岡村さんは、島根県津和野町の太皷谷稲成(たいこだにいなり)神社からこの地に分霊を移し祭った。「稲成」の「成」は「成就」に由来する。海沿いの神社だけに海上安全や大漁祈願はもちろん、さまざまな願いがかなうという。

 参道に連なる鳥居が建てられたのは昭和62年から10年間。願い事をしたり、願いが成就した際などに参拝者らが奉納した。年に12~13基のペースで増え続けたが、設置場所が限られることから123基で新設を終了。縁起のいい一二三(ひふみ)の鳥居として景観を保存している。

 また、神社には高さ5メートルの鳥居も建ち、賽銭(さいせん)箱が上部に付いている。投げ上げた賽銭が入ると願い事がかなうとされ、斎主の岡村頼樹さんが平成21年に「面白いことをしてみよう」と設置。TVなどで紹介されて話題になり、昨年の参拝客は2万人を超えた。訪れた人たちはバスケットゴールより高い賽銭箱に、何度も賽銭を投げていた。

 福岡県志免町から友人と訪れた自営業の清原美代子さん(58)は「投げたお賽銭は入らなかったけど、きれいな景色が見られてよかった」と満足そうだった。(2013年4月15日、三尾郁恵撮影)

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