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【動画】遺作とともに復興見守る 福島県いわき市の塩屋埼灯台

東日本大震災

【動画】遺作とともに復興見守る 福島県いわき市の塩屋埼灯台

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 いてつく夜明け前、木々が生い茂り鬱蒼(うっそう)とした小高い丘を登る。息を切らして頂上に立つと、視界が一気に広がり、朝日に淡く染まる灯台が浮かび上がっていた。福島県いわき市の塩屋埼灯台。ここに、東日本大震災で犠牲になった少女の絵が飾られている。笑顔で手を振る子供たち、海を照らす太陽の中を飛ぶカモメ…。

 描いたのは震災発生時、小学校4年生だった鈴木姫花さん=当時(10)。姫花さんは地震の後、灯台に近い祖母の明美さん=当時(62)=宅に避難した。しかし、津波は建物と2人を飲み込み命を奪った。

 姫花さんの絵は絵画コンクールの入選作で、震災前から塩屋埼灯台に展示されていた。姫花さんが夢見ていたのはデザイナー。その思いをかなえようと、絵はハンカチになり灯台近くの土産物店で販売されている。

 売り上げは、いわき市と災害遺児のために寄付されているが、これまで約8000枚が売れたという。いわき市に住む姫花さんの父、貴さん(39)=学習塾経営=は「誰かの役に立つことで、娘が違った形で生き続けていると思えるんです」と話す。

 来年3月で震災発生から5年。姫花さんには2人の弟がいるが、今でも夕飯の食卓には姫花さんの食事も並ぶ。「悲しいけれど、年月とともに娘が少しずつ“写真の中の人”になっている。亡くなったことを受け入れながら、家族に全ての愛情をそそぎたい」と、貴さんは複雑な胸中を吐露する。

 灯台は震災でガラスが割れ歩道も崩れたが昨年、一般開放を再開した。姫花さんの絵とともに、変わり果てた地域の復興を震災前と変わらぬ姿で見守っている。(写真報道局 松本健吾)

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