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【主張】5歳児の教育 子供らしい体験のなかで

 就学前の5歳児には、どんな教育が必要か。文部科学相の諮問機関、中央教育審議会が検討を始めた。幼児期の知・徳・体は、子供らしい遊びや体験のなかで育まれることを忘れずに議論してもらいたい。

 検討のため中教審の分科会に特別委員会を設置した。幼稚園や保育所など通う施設を問わず、共通する教育プログラムについて話し合い、小学校への円滑な接続を目指すのだという。

 本来、就学前の教育は、親が責任を持って行うべきことである。しかし、家庭の教育力の低下が指摘されて久しい。

 小学校入学後に学校生活になじめず、騒いで授業が成り立たない「小1プロブレム(問題)」が教員を悩ませている。幼稚園や保育所など、通う施設によって教育内容や指導の違いがあり保護者から格差を心配する声がある。

 自治体によっては公立幼稚園で入学前の半年で時間割に基づいた行動などを教える例もある。

 幼稚園教育要領などでは、幼児期に育ってほしい姿として「健康な心と体」「自立心」などを挙げている。萩生田光一文科相は今年5月の経済財政諮問会議で「幼児教育スタートプラン」を公表し、「ことばの力」「情報を活用する力」「探究心」といった生活や学習の基盤となる力を示した。

 ことばの力や情報活用は、現代で一層求められる能力だろう。しかし詰め込み過ぎ、子供たちがそっぽを向いては元も子もない。

 語彙力を例にしても、親や友達との会話や遊びなどを通し、育まれるものだろう。情報活用も大切だが、1人でゲームばかりし、仮想空間から出られないようでは困る。むしろ携帯電話やスマートフォンに頼らずとも生き抜く力こそ育む機会を持ってほしい。

 幼少期から英語や情報・プログラムについて学ぶ民間の塾などもある。親の立場では「隣の子がやっているから」と焦る気持ちも分かる。だが肝心なのは、子供の興味を、さらに学びたいという意欲につなげる教育の工夫だ。

 興味があっても家庭の状況などから、学びや体験の機会に恵まれない子供たちもいる。

 幼児期の統一的な教育プログラムをつくるというより、民間と連携し、経験できる多様なプログラムを地域に用意することに予算を使ってはどうか。