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「大学全入時代」突入の共通テスト出願まで3カ月 コロナ禍影響懸念

 大学入学共通テストの出願開始まで3カ月に迫った。来年度入学の入試では、初めて志願者数が入学定員を下回ると予想されており、本格的な「大学全入時代」がスタートする。競争の緩和が期待される一方、収束が見通せない新型コロナウイルスが志願動向に再び影響を及ぼす懸念がある。高校3年生に対するワクチン接種も議論を呼ぶ可能性があり、受験生は感染状況をにらみながらの準備を余儀なくされそうだ。

転換点

 来年1月15、16日に日程が決まった共通テストの出願は9月27日に始まる。感染拡大を受けて今年設けられた「第2日程」は行わず、本試験は1回のみ。追試験は2週後に設定されている。

 今回の入試は一つの節目となる可能性がある。本格的な「大学全入時代」への突入だ。河合塾が推計した令和4年度入学の志願者は約61万3千人。3年度から約2万3千人減少する。

 一方、文部科学省がまとめた最新の学校基本調査によると、2年度の入学者は約63万5千人。この数を「入学定員」として3年度以降も同程度の水準となると仮定すれば、4年度入学の入試で志願者が初めて定員を下回ることになる。

 5年度以降も志願者は約2万人ずつ減ってゆき、年を追うごとにより合格しやすい環境となる。河合塾教育研究開発本部顧問の近藤治氏は「今回の入試がターニングポイント(転換点)となるかもしれない。10年前に合格が難しいとされた学力でも難関大に手が届く時代が来る」と指摘する。

志願者激減

 河合塾の調査によると、3年度入学の入試では、国公立大の志願者は若干の減少にとどまったものの、都市部を中心に私立大は志願者を1割以上も減らした。

 感染リスクやキャンパス閉鎖を受けて「地元志向」が高まったほか、家庭の経済状況に対する不安なども影響し、出願校を絞り込んだり、私立から国公立に志望を切り替えたりする動きにつながったとみられる。

 また、一般入試の実施状況が見通せなかったことから、早期に進学先を確保したい意識が働くとして学校推薦型選抜(旧推薦入試)などの志願増も予想されたが、結果的に国公私立いずれも減少した。「大会の中止や一斉休校で大学に対するアピールとなる実績づくりが行えず、出願控えが起きた」(同塾)

 今後の感染状況次第で、今回の入試でもこうした志望動向の予期せぬ変動が繰り返される懸念がある。

出題難化

 導入初年となった今年1月の共通テストは大方の予想に反して、前回の大学入試センター試験よりも平均点が上がった。その反動から、2回目となる来年のテストは難化が予想される。

 苦手科目の克服にあてられる夏休みが受験の勝敗を分ける要となる。広島県坂町では、中学3年と高校3年の受験生らにワクチンを優先接種する方針を決めた。約240人の生徒が対象となり、7月中にも1回目の接種を終える計画だという。町の担当者は「夏休みに勉強に集中できる環境を整えたい」と語る。

 受験生のワクチン接種が進めば、受験生の負担軽減につながる。例えば、10、11月に実施される予備校の大規模模試の結果は最終的な志願校を決める材料となるが、例年会場となっている大学が入構制限中のため場所の確保が難航。予備校幹部は「接種が進めば模試の実施が円滑化するのではないか」と期待を込める。

 ただ現状では、多くの自治体で高校生らに対する明確な接種スケジュールは固まっておらず、受験シーズンが本格化するにつれて議論の高まりも予想される。