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【学ナビ】ICT活用、通信制高校に注目 卒業資格取得と夢への学び、両立

課外授業として、岐阜県関市で刀鍛冶体験に挑戦するN高の生徒たち。ネットとリアルを組み合わせて、総合力を培っていく(角川ドワンゴ学園提供)
課外授業として、岐阜県関市で刀鍛冶体験に挑戦するN高の生徒たち。ネットとリアルを組み合わせて、総合力を培っていく(角川ドワンゴ学園提供)

 ICT(情報通信技術)を活用した通信制高等学校が注目を集めている。かつては不登校や家庭の事情などから学校に通うことができなかった生徒の受け皿という印象があったが、近年では高校卒業資格の取得を目指しながら、eスポーツをはじめ、ゲームや音楽制作、プログラミングなど、好きなことに打ち込み、夢を実現させるための学び方の選択肢のひとつになっている。

角川ドワンゴが2校目

 角川ドワンゴ学園は今年4月、ネットの高校として知られるN高等学校(沖縄県うるま市)に続くS高等学校を開校した。茨城県つくば市の廃校を改修し、校舎として再活用している。

 S高開校の背景には、N高生徒数の飛躍的な増加がある。N高開校時(平成28年)の在籍生徒は約1500人だったが、昨年10月には1万5千人。同校は年5日ほど本校に通うスクーリングを設けているが、教室や宿泊施設の受け入れが難しくなっていたという。

 S高の吉村総一郎校長は「ICTを活用したカリキュラムで必修授業を学べるため、通学などに時間を取られず、希望する学びに集中できる。ネットの学校でも生徒が主体的に学ぶ大切さは変わらず、学校としても教養・思考力・実践力を磨いていく。学校としての魅力が社会に伝わり、生徒数増加につながっている」と説明する。

 N高・S高では、全生徒が必修授業(ネット学習・スクーリング・テスト)を受けて、高校卒業資格を取得する。課外授業やネット部活も盛んだ。課外授業では、大学受験対策や職業体験などが充実している。起業部やeスポーツ部といったネット部活では、各界で活躍する専門家を顧問に招き、業界の最前線に身を置くことができるという。

「教育とITを融合」

 進路も多様で、就職や留学のほか、昨年度は半数以上の生徒が国内外の大学や専門学校に進学している。

 吉村校長は「4月からは、仮想現実の中で体験型学習ができる普通科プレミアムも始まった。ネットの学校でも、一緒に課題に取り組みながら仲間を作ることができ、自身の能力も伸ばしていくことができる。教育とITを融合させ、より良い未来の学校を目指していく」と話している。

 文部科学省「通信制高等学校の質の確保・向上に関する研究協力者会議審議まとめ」(今年2月)によると、通信制課程を置く高等学校の学校・生徒数は、少子化傾向に関わらず増加している。昭和45年は82校・約15万人だったが、令和2年は257校・約21万人となっている。

 創志学園が運営するクラーク記念国際高等学校は、通信制でありながらも制服を着てキャンパスに通学する「全日型教育」を導入。全日制高校と同様の高校生活を送ることができ、難関大学への受験対策に力を入れている。また、野球部は平成28年の夏の甲子園に北北海道代表として出場している。

 ブロードメディアが展開するルネサンス高等学校は、ダブルスクールのコースを設けて、歌手や声優などを目指す生徒をサポートしている。

 同審議会では「かつては、働きながら学ぶ生徒が多かったが、近年は中学校卒業段階で職業的な自立やスポーツ・文化活動を目指す生徒が増えるなど、通信制高校における生徒層の多様化が進んでいる」指摘している。