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静大と浜松医大、来年度予定の統合を延期 反発根強く議論難航

浜松医科大との統合計画の延期について説明する静岡大の石井潔学長=29日午前、静岡市の同大
浜松医科大との統合計画の延期について説明する静岡大の石井潔学長=29日午前、静岡市の同大

 静岡大と浜松医科大は29日、静岡市内で記者会見を開き、両大学が合意していた令和3年度の運営法人の統合計画について、実施を延期すると表明した。両大学が平成31年3月に合意した計画では、静岡大浜松キャンパス(浜松市)にある学部と浜松医科大を一体化した新大学とする。静岡大の静岡市内の学部は別の大学として再編し、来年度に両大学を運営する新法人を設置する予定だった。

 静岡市も交え協議を進めていたが、静岡大関係者を中心に反発が根強く、議論は難航していた。静岡大の石井潔学長は「静岡市とも協議が続いている。統合には地域との連携が欠かせず、予定通り進めるのは適切でない」と説明。具体的な統合時期は未定とした。

 静岡大では今年4月、統合に慎重な立場を取る人文社会科学部長の日詰一幸氏が学長に就任する。

慎重な静岡、前向きな浜松…際立つ温度差

 統合再編計画が延期に追い込まれた背景には、静岡大と浜松医科大を抱える静岡、浜松両市の統合再編をめぐる温度差がある。地域の活力を失いかねない静岡大の分割を伴う再編案に慎重な静岡市に対し、浜松市は医療や工学、情報分野の融合につながるなどとして再編案に前向きだ。地元経済界などを巻き込み「オール浜松」で積極支援する構えだ。両市の考え方の違いが際立ち、再編計画のネックになっている。

 再編案について、静岡大静岡キャンパスを中心に慎重論が根強い中、静岡市は地元の理解を得るため、同大関係者も委員に入る「静岡大学将来構想協議会」を設立し、再編のあり方を議論してきた。だが、議論は行き詰まり、現在は事実上の“休眠状態”。昨年9月に議論を進展させるため、下部組織として作業部会を新設し、新たな大学再編案のたたき台を示す方針を打ち出した。

 しかし、これまで3回開かれた作業部会は委員による意見発表に多くの時間を割いている。篠原光秋座長は「ここでは具体的に統合・再編について意見を求めていないし、話題も出ていない。勉強会のような形」と話す。最終的には提言をまとめて将来構想協議会に提示する予定だが、議論が進展するかは不透明だ。逆に浜松市側から「時間稼ぎ」との批判を浴びかねない。

 一方、浜松市は昨年10月、両大のほか地元経済界などでつくる「浜松地区大学再編・地域未来創造会議」を設立。医療や工学、情報分野を融合した新たな産業創出に向けて再編案を後押しする狙いだ。慎重論が根強く、動きの鈍い静岡市側を牽制(けんせい)する思惑も透けて見える。