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「諦めなければ通じる」 国交省の若手職員、受験生応援グッズ「合格通水石」作成

取り壊し作業が進む第二床固(写真奥)。作業で出たコンクリート片が「合格通水石」となった(国土交通省信濃川河川事務所提供)
取り壊し作業が進む第二床固(写真奥)。作業で出たコンクリート片が「合格通水石」となった(国土交通省信濃川河川事務所提供)
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 入試シーズンを前に、国土交通省信濃川河川事務所(新潟県長岡市)の若手職員が、コロナ禍の中で奮闘する受験生向けに応援グッズ「合格通水石」を作成して無料配布し、話題になっている。小さな麻袋の中に、3センチ前後のコンクリート片と、合格の文字などがプリントされたカードを入れたもの。この取り組みには心温まる“裏話”があった。(本田賢一)

米どころ支える水路

 受験生応援グッズを作ることになった背景には、長岡市と燕市を流れる大河津(おおこうづ)分水路が関わっている。

 この分水路は日本有数の穀倉地帯、越後平野を水害から守るため、明治から大正にかけて15年にわたる難工事の末、大正11年に初めて通水した。信濃川の途中から枝分かれする形で日本海につながっていて、信濃川下流域で洪水が起きそうになると、分水路の可動堰(ぜき)を開き増水した川の水を分水路を通じて日本海に流す。

 これにより信濃川下流域などでの水害発生頻度は、3年に1度から9年に1度へと大幅に改善された。平時や渇水時は、堰をコントロールして必要な潅漑(かんがい)用水を信濃川下流域の田に供給し、米どころ新潟を支えてきた。

 河口付近にある床固(とこがため)と呼ばれる浸食作用を軽減するための施設が老朽化したため、その下流部に新しい床固を造り、現在、古い床固の取り壊し作業を行っている。受験生応援グッズのコンクリート片は取り壊し中の床固から出たものだ。

込められた思い

 信濃川河川事務所調査課の斎藤良一さん(31)はグッズに込められた思いをこう説明する。

 「分水路をつくる工事は地滑りなどに見舞われ困難を極めたが、先人が諦めずに通水させた。コロナ禍の中で苦労しながら頑張っている受験生に、分水路の一部である床固のコンクリート片を贈り、『諦めなければ通じる』とのエールを送りたかった」

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