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【学ナビ】学食訪問 慶應義塾大学「山食カレー」 変わらぬ歴史と伝統の味

 「今も昔も利用者の8割は男子学生で、どーんと食べられるボリュームたっぷりメニューばかり。一番人気は(食堂の名前を冠した)『山食(やましょく)カレー』(330円)。1日に来店する約350人のうち200人は注文するかな」

 そういってカレーを手に目を細めるのは、慶應義塾大学三田キャンパス(東京都港区)にある「山食」の3代目社長、谷村忠雄さん(80)。65年近く厨房(ちゅうぼう)に立ち続けている。

 昭和9年に産声を上げた「山食」は、同12年から本格的に創業した。戦前の建物は質素で風が吹けばガタガタと音をたてた。「まるで山小屋」という理由から山食と呼ばれるように。時代は変わり、今は「三田の山の上にある山食」と称されることが増えた。

 カレーはルーから手作り。カレー粉と小麦粉、おろしにんにくとしょうがをラード(豚脂)で練る。そのペーストを130度のオーブンで約6時間かけて焼き上げる。焦げないように30分ごとにひっくり返す手間のかかりようだ。

 使用スープは野菜と豚骨を合わせる。肉は豚。隠し味はケチャップの酸味だ。できあがったカレーは一晩寝かせ、味をなじませてから提供している。

 カレー以外にもメニューは約35種類。そのうち約10種類が日替わりで登場する。創業から残るのはカレーのほか、ハンバーグ、カツ丼…。当時は食されていたクジラ肉などは姿を消した。年月とともに食材も味の好みも変化していく。しかし、カレーだけは何ひとつ変わらないまま、親しまれている。

 谷村さんは「第二の家庭のように思ってほしい」と話す。壁には校旗や各界で活躍する卒業生のサインが並ぶ。そしてこんな言葉が掲げられている。

 〈歴史と伝統 手作りの店 山食〉