入試 入試

【学ナビ】羅針盤 成蹊大学・北川浩学長 新時代切り開く つきぬけた個性磨く

 今年で70周年を迎える成蹊大学が変わろうとしている。政治経済学部1学部体制で始まり、昭和43年に経済・法・文・工の4学部に移行して半世紀の時が流れた。来春には経済学部を2学科に刷新するほか、新たに経営学部も誕生する。グローバル教育プログラムも始動し、未来を見据えた専門性の高い修業環境が整う。北川浩学長が育てたいと願う“つきぬけた個性”の本質について聞いた。(聞き手・宮田奈津子)

 --看板・経済学部の改革に着手した

 「成蹊は51年にわたって学部数が変わっていない。過去にない速さで変化する社会で活躍する人材を育てるために改革を行っている。“AI(人工知能)革命”といった言葉に代表されるように、まったく新しい時代に突入しようとしている。専門性を研ぎ澄ますカリキュラムを提供していく必要があると考えた」

 --育てたい能力とは

 「まずは総合的思考力。AIには常識や良識といった部分はなく、社会生活を営む中で生まれる知恵は持ち得ない。2つ目は創造力。そして、真のコミュニケーション能力。AIが簡単に代替できない3つの能力を磨いていく」

 --チームとつきぬけた個性の重要性を訴えている

 「創造性とは、物事をつなぎ合わせる能力。点をつなぎ、関係性を考えることで新しいことが生み出される。では、強いチームとは何か。多彩な能力や特定の資質を持つ人が集まり、総合力を発揮する集団だと思う。つきぬけた個性とは、チームに選ばれる強みを持つこと。常識に思い至り、異質な集団の中で柔軟に対応し、役割を果たせることが重要になってくる」

 --建学の精神にも個性の尊重がある

 「創立者の中村春二は『子供はみな形の違うコップ』と表現した。教授らが一律に水を注ぐとこぼれてしまう。学生との距離が近いゼミや本格的なプロジェクトなど、個性を大切にする教育プログラムが多数ある。原点にある精神を見つめ直すことも大切だろう」

 --グローバル教育プログラム『EAGLE』も来春からスタート

 「対象学生は、1年次から英ケンブリッジ大学に短期留学してもらう。国内外問わず、学生を外に連れ出すことに力を入れている。島根県立大学と連携し、まちおこしにも挑戦している。成蹊の1都3県(首都圏)比率は8割。さまざまな人と出会い、交流し、ときには粘り強く交渉する経験が必要で、多様性を学ぶ機会をつくっていく」

 --学生たちへのメッセージを

 「“勝ち組”につながる既存のレールは見えなくなってくる。これからの大事なスキルは、ワクワクしながら学び続けること。旅行は面倒、恋愛はしない、親しい仲間とラインの毎日…。その先に未来は開けない。大学卒業証書もいつまで価値を持つのか分からない。教育全体は難しいが、人材育成は変えられる。幸せな人生を送ってね-という思いを重ね、学生を育てていきたい」

                   ◇

【プロフィル】北川浩

 きたがわ・ひろし 昭和35年、山口県生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大大学院経済学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、成蹊大学経済学部専任講師。キャリア支援センター所長や経済学部長などを歴任、平成28年から現職。専門分野は貨幣論、金融論、人材開発論。