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【大学最前線 この人に聞く】被災地とともに未来をつくる 中井勝己・福島大学長

 また、復興庁の最新の統計によりますと、東日本大地震による避難者数は約5万2000人で、そのうち福島県の出身者は約4万1000人にも上っています。ただ、3年前に熊本地震、昨年には西日本豪雨や北海道胆振東部地震が起き、それぞれの地域は甚大な被害に見舞われました。こうしたことから、震災から8年たっても復興はいまだ道半ばであり、帰還困難区域の存在や多数の避難者などいまなお多くの問題点があるということを、特に県外に向けて発信することについて躊躇する気持ちが個人的に非常に強くなってきています」

 ■「食農」が切り開く復興のかたち

 〈福島大学は震災発生直後に体育館に避難所を設置。その後まもなく、うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)を創設した。学生団体の災害ボランティアセンターは数カ月にわたって仮設住宅に学生が住み込む「いるだけ支援」をはじめとして多彩な活動を展開し、「ボランティア組織を継続するためのマネジメントを学生が自主的に行っており、課外における素晴らしい学びの場」(中井学長)になっている。

 また、平成25年設立の環境放射能研究所は森林や河川、湖沼、海洋などでの放射性核種(※2)について基礎・応用的な研究を行う世界的機関だ。さらに今春、人間発達文化・行政政策・経済経営・共生システム理工の既存4学類の構成を全面的に見直し、食農学類を新設する〉

 「意外に思われるでしょうが、“農業県”のイメージがある福島県には過去、国公私立を含めて農学部をもった高等教育機関が東北6県では唯一、ありませんでした。そうした歴史とは別に、食農学類の開設には震災復興に寄与するという大きな目的があります。

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