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【入試最前線】(5)高1年6月に分かれ道「文理選択」

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文理選択では、多くの高校生たちが頭を悩ませている
文理選択では、多くの高校生たちが頭を悩ませている

 多くの高校生が最初に大学入試を意識する場面が、文理選択だろうか。一般的には、1年生のときに文系か理系かを選択させ、2年生からクラス分けするという学校が多い。あえて区分を行うのは、文系と理系では受験科目が異なるため。例えば、「日本史」や「地理」といった社会や「生物」「物理」といった理科の科目の選択を間違えると、受験できない学校も出てくることがあり、文理選択や授業を受ける科目を決めるというのは、受験校を決める第一歩ということもできるのだ。

 ただ、多くの高校1年生たちにとってこれが大きな悩みのたね。「弁護士になりたい」「医療関係にすすみたい」といった明確な進路を決めている人は、文理選択に悩むことはあまりないが、将来の夢が明確でない高校生たちは、どうやって文理選択を決めているのだろうか。

将来をみすえて

 今春の入試で、国公立に160人以上、関西難関私大といわれる関関同立に400人以上の合格者を出した堺市堺区の大阪府立泉陽高校の場合、1年生の6月に文理選択の第1回の希望調査を行う。4月に入学してからわずか2カ月。高校入試を終えてほっと一息という時期でもあるが、早速、大学入試のことを考え始めなくてはならなくなる。

 「最終的に決めるのは11月ですが、それまでに十分に考えてもらうためにも、きっかけとして6月に一度実施する」。同校の進路指導部長の吉田裕紀教諭はこう説明する。

 高校生たちの判断材料にしてもらおうと、今年の1年生は入学間もない4月に、大手予備校河合塾が提供する適職診断プログラム「R-CAPforteens」を受検したという。自分の興味や価値観についての質問について答えていくと、向いている職業や学問適性などが示されるプログラムだ。

 吉田教諭は「自分の適性を知るというよりは、社会の多様な職業を知ってもらうのが狙い。高校1年だと自分の親かドラマに出てくる職業程度しか分からないですから」と話していた。

 同校の場合、高校1年の夏休みの課題のひとつは、大学のオープンキャンパスに参加し、その感想を提出すること。

 毎年、「どこの大学に行ったらいいか分からない」という生徒もいるが、吉田教諭は「できるだけ学部がたくさんある大学に行って、幅広く見るように」とアドバイスしているという。

受験案内の読み方も

 高校1年生に秋になると、授業時間を使って、生徒たち大学の受験案内を読ませる練習を行っているという。今年は生徒全員に大学の受験案内をもとに、受験科目を調べさせるという指導も行った。受験制度は年々複雑になっており、大学の入試要項を読み解くのも難しいケースがあるからだという。授業では、どの学部の受験には、どんな科目を受験するのかということを調べていくという。

 それだけではない。高校1年生の冬になると、放送局や税理士、製薬会社など、さまざまな職業の社会人17人程度を講師を招いたキャリア教育の授業を実施。大学を卒業した先の仕事についても考えさせるように指導しているという。

 至れり尽くせりの指導を行っているようにもみえるが、こうした取り組みを早い段階で行う理由について吉田教諭は、「単に大学生になることを夢見るのではなく、将来の夢を描けるようにするため指導していくのが大切だからだ」と話す。

 受験直前になれば、どうしても成績優先で受験校を選びがちになる。塾や予備校でも、成績表中心の進路指導になってしまう。しかし、本人の人生を考えれば、職業も含め、できるだけ将来をみすえた進路を選んでほしい-。先生たちはそう考えているのだという。

 同様の取り組みは、各地の学校でも行われており、大阪府立天王寺高校(大阪市阿倍野区)でも、1年生のときに社会人講師を迎えたキャリア教育を実施している。高江洲良昌教頭も「文理選択は、大学受験よりももっと広いところ見させて、そこから科目を考えさせていくように意識している」と話していた。

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