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来年度入試の動向は(1)好景気で文系学部が人気 理科の負担増で国公立大は受験者伸び悩み

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「大学入学共通テスト」のリハーサルで、テストに臨む高校生(桐原正道撮影)
「大学入学共通テスト」のリハーサルで、テストに臨む高校生(桐原正道撮影)

 大学受験シーズンを目前に控え、受験勉強もいよいよ終盤戦に突入。受験生は志望校合格に向けて、ラストスパートをかけているのではないだろうか。最近の人気大学・学部はどこなのか、大学や受験生の動向は…。迫る入試本番を前に、気になる来年度入試の注目点を大手予備校の「河合塾」に聞いた。

就職好調を反映

 受験生の志望状況を見ると、経済が好転、就職も好調なことが反映されている。景気の陰りや停滞感、不安が広がる経済状況では資格が取得でき、就職に直結した学部・学科の人気が高まる。具体的には、教育学部や医学部、薬学部、看護学部といった医療系学部、家政学部などの資格系学部だが、こうした学部への人気が一様に落ち着きを見せているのだ。

 その一方で、文系学部の人気回復は顕著で、2018(平成30)年度入試では、特に法学部や経済学部などの社会科学系学部を志望する受験生が増えていた。その反面、理系学部の人気は低調で、2019年度入試も人気回復の兆しはみられない。

 ただ、理系学部の中でも、情報系の学科では志願者が増える傾向がみられる。河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフは「AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)をめぐるニュースなどで頻繁に取りあげられることもあって、ニュースを通じて、こうした学部・学科に将来性を感じる受験生が増え、これが志願状況にも反映しているのだと考えられます」と話す。

理科の負担増がもたらしたもの

 全国に約170ある国公立大は、現行課程での入試が始まった2015年に志願者を大きく減らした。その後は横ばいが続き、現在もその傾向は続いている(いずれも前期日程)。では、国公立大の志願者は、なぜ伸び悩んでいるのだろうか。

 これには学生の理系離れが関係していた。2015年入試以前は「理系=就職に強い」と言われ、理系人気は根強かった。ところが、学習指導要領の改訂に伴い、旧課程から現行課程へと入試が変更された2015年以降は理科の負担が増し、状況が一変したのだ。

 具体的に見てみよう。旧課程で理科は、「物理I、物理II」「化学I、化学II」「生物I、生物II」「地学I、地学II」と分かれていた。このうちセンター試験では、いずれも「I」までが範囲となっていたが、これが現行課程へと変わって、理科はそれぞれ「物理基礎、物理」「化学基礎、化学」「生物基礎、生物」「地学基礎、地学」へと変わった。

 理系受験生の多くは基礎を付さない科目(物理、化学など)を選択するが、この科目は旧課程の「II」の範囲を含むために負担が重くなり、これが理系離れの原因となっている。

 国公立大の多くは理系学部・学科を抱えている。このため、学生の理系離れが進むと、国公立大における志願者数も相対的に伸び悩む関係にあるのだ。