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【学ナビ】羅針盤 専門領域生かし「世界の幸せをカタチに」

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 □武蔵野大学・西本照真学長

 東京・武蔵野と有明にキャンパスを擁する武蔵野大は、ユニークなブランドビジョンを掲げている。『世界の幸せをカタチにする』。9学部10研究科をはじめ、武蔵野大学しあわせ研究所を設立し、専門領域を生かして実現できる“幸せ像”を模索している。インド哲学研究者でもあり、幸せという概念と学問の懸け橋役を担う西本照真学長に、豊かな未来を目指す教育や幸せへの思いについて聞いた。(宮田奈津子)

 --建学の精神は、仏教による人格教育。この精神が“幸せ”につながる

 「仏教とは何か-と考えるとき、基本的には2つ。1つは“いきとし生けるものが幸せになるために”という願い。2つ目は“つながる(縁起)”という思想。一対一の関係ではなく、無限に、そして相互につながっていく世界観と人間観。その精神を今日的に共有し、教育の場面で具現化していきたい」

 --2年前に、武蔵野しあわせ研究所を設立。幸せと学問の融合を試みている

 「学長就任後、『世界の幸せをカタチにする』というブランド宣言を発表した。物質主義の時代は終わり、精神的な幸せもカタチにしていかなければいけない。持続可能な開発目標をはじめ、社会の課題解決を視野に入れた研究や諸宗教との対話など、学生や学内外の研究員が分野を超えた学際的研究を推進している」

 --どのような人材輩出を目指しているか

 「今の学生は、2050年の社会を担う。人生100年時代といわれ、22世紀まで生きる。インドの考え方では、時間は未来から流れてくる。押し寄せてくるものに向かい、どう受け止めながら、挑み、生きていくのか。多難な時代を担っていく力をつけることは重要で、大学の使命だろう」

 --データサイエンス学部が来年4月から始動する

 「国内に3学部しかない学部。膨大なデータから新たな社会的価値を創造するデータサイエンティストは、最も活躍が期待される職業として注目されている。大学は、これからの社会的課題に率先して取り組む使命がある。データサイエンスの新領域であるAI、ビッグデータ分析は、持続可能な社会の実現に向けた創造的活動の先導になる」

 --大学での学びとは

 「私もこれまで人生に紆余(うよ)曲折はあった。分かりもしない流行の哲学書を小脇に、『人間とは、生きるとは、命とは何か』を考えていた。大学は生き方を学び、考え、実践する学府。生き方に跳ね返ってこないなら、学ぶ意味がない。うまくいかないこともあるが、大学生活のすべては無駄じゃない」

 --学長がつくる幸せのカタチは

 「未来のエネルギーになる学生を育てること。世界の喜びと痛みを感じる感性、課題を多様な視点で捉える知恵、人々と連帯できる“響創力”を備えた人材を社会に羽ばたかせることが、世界の幸せをカタチにすることにつながる。幸せも自分一人ではなく、みんなの幸せ。幸せの願いを抱きながら専門知識を学び、社会に羽ばたいてほしい」

【プロフィル】西本照真

 にしもと・てるま 昭和37(1962)年、広島県生まれ。平成6(94)年、東京大大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程単位取得後退学。第40回日本印度学仏教学会賞、第7回中村元賞。武蔵野大大学院仏教学研究科長などを経て、同28(2016)年から現職。著書に『「華厳経」を読む』など。