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【コロナ直言】(6)「強制力ある措置」切り札に 国際医療福祉大大学院教授・松本哲哉氏

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 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言は、感染が抑え込めていない状況で解除すれば確実にリバウンドが起きる。宣言の解除は感染の状況をしっかり見据えて判断すべきであり、解除後も人と人の接触がある程度抑制されている状況を継続する必要がある。

 また現在、宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用されている都道府県に限らず、感染の状況は全国的な広がりが認められている。政府の対策分科会が示す4段階の基準のうちのステージ4(爆発的感染拡大)の状況に陥り、医療の逼迫(ひっぱく)が現実のものとなっている県も多くみられている。

 そうなると地域ごとに経過をみながら対応を変えていくよりも、早期に全国的に宣言を出して感染を積極的に封じ込める姿勢を示すほうが、結果的には成果を上げられると思われる。

 ワクチンが普及していない段階において感染者数を減らすには、人の接触の頻度を減らすしかない。ただし、残念ながら接触の頻度を減らす策は国民に我慢を強いることとなり、経済的なダメージも大きい。宣言が繰り返されたり(期間が)長くなったりすれば、従えない人が出てくるのも無理はない。そのため、宣言の有効性が薄れてきていることを考慮すると、ずるずると中途半端な措置を継続するのではなく、期間を限定して、強力な措置を講じるべきだ。

 強力な措置といっても日本では「ロックダウン」(都市封鎖)はできないことが前提となっている。そもそも日本は基本的に要請レベルの対応しかできず、強制力のある切り札を現時点でも持っていない。要請だけで感染を抑えることができないのは明らかであり、使うか使わないかは別としても法改正を行い、必要に応じて強制力を選択できる余地は持っておくべきだ。

 《前回の宣言の全面解除(3月)に際し、政府は「リバウンドが懸念される」として、(1)飲食店の時短(2)変異株の監視体制強化(3)戦略的検査(4)安全、迅速なワクチン接種(5)医療体制強化-の感染防止対策5本柱を決定した》

 政府が示した5本柱は、対策の方向性については間違っていないと考える。ただし、それが打ち出されて約2カ月となる今、これらのうち、いくつ達成できただろうか。感染者数の推移を見ながら場当たり的に対策を行っても成果を上げることは難しく、犠牲が大きくなるだけである。これまで行ってきた対策の有効性を検証し、科学的な根拠をもって方針を決定すべきである。

 ワクチンの普及による感染の抑制までにはまだ時間を要する。今一度、長期的な視点に立ち、実効的な戦略を立て、着実に実行に移すことが必要である。(聞き手 石橋明日佳)

 まつもと・てつや 国際医療福祉大大学院教授、医学博士。長崎大医学部を卒業後、同大付属病院で勤務。東邦大医学部で講師を務めたのち、米ハーバード大に留学。平成30年より現職。日本化学療法学会理事長も務める。専門は感染症学。

 「短期集中」のはずだった3度目の緊急事態宣言はもくろみが崩れ、延長・拡大された。今回の「コロナ直言」は、説得力を失いつつある宣言はどうあるべきかについて識者に聞いた。

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