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岡本太郎も梅原龍三郎もはまったクレパス画 

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 「第31回 全日本アートサロン絵画大賞展」(産経新聞社など主催、サクラクレパスなど共催)に出展するために、クレパス画に初挑戦している。クレパスを開発したサクラクレパス(大阪市中央区)の本社でその歴史を学んだ後は、豊かな絵画表現を身につけるために具体的な技法を学ぶことになった。 (田所龍一)

塗って、削って

 いよいよクレパス技法の習得である。サクラアートミュージアム主任学芸員の清水靖子先生に教わりながら、まずは画用紙一面に、薄水色のクレパスを50分もかけて塗り込んだ。

 「ではその上に反対色のクレパスを塗りましょう。田所さん、青の反対色は? 中学生の時に習ったでしょう。そう、だいだい色です。今回は薄青ですからだいだい色を塗りましょう」

 ここで難しいのは力を入れ過ぎないこと。力を入れると色が混ざって混色になる。力を抜き、そっとなでるように何度も塗る、それがコツ。すると色が重なり重色になる。

 「塗り終えたら、道具を使って削ってみましょう。ほら、下の層の薄水色が出て表層のだいだい色と色の対比や調和が楽しめるでしょう。これがスクラッチ技法です。削る道具でいろんなタッチや模様が描けますよ」と清水先生。

重ねた色を道具で削り、下地の色で描くこともできる「スクラッチ技法」
重ねた色を道具で削り、下地の色で描くこともできる「スクラッチ技法」
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 たしかに先がくしの歯のようになった「木ぐし」でまっすぐ引けば細い平行の線が描け、クネクネと描けば波のような線になる。両端に針のような細い金属がついた道具「スクラッチニードル」を使えば細く鋭い線が描けた。

水彩画のような風合いも

 「クレパスは水には溶けないけれど揮発油に溶けます。この性質を利用し、画用紙に塗ったクレパスを揮発油を含ませた布でサーッと拭き取る。すると…」

 ぼかした柔らかな水彩画のような感じになった。これを拭き取り技法というそうだ。

 さらに拭き取り技法の応用編に挑戦する。スクラッチニードルを使い、あらかじめ画用紙をひっかいて模様をつけておく。クレパスで色を塗り、揮発油で拭き取る。するとひっかいた線の中に色が残り、ぼかした中に線が現れる。

 「先生、ということは、ニードルで模様ではなく絵を描いていれば、拭き取ったあとにその絵が現れるってことですよね」

 「そうです。描いてみて」と言われ、とっさに描いたのが「マグマ大使」。手塚治虫氏の漫画が原作で昭和41年7月からフジテレビ系で放映された。

 マグマ大使はアースが生み出した金色のロケット人間。「地球の征服者」ゴアが送り込む怪獣と戦う正義の味方だ。少年マモルがロケット形の超音波笛をピコピコピーと3回吹くと助けに飛んできてくれる。

 「どうしてマグマ大使なの?」と清水先生に聞かれたが、理由は分からない。当時、筆者は10歳。潜在意識の中にあるのだろうか…。

プロの画家とクレパス画

 クレパスの歴史の中でちょっと気になっていたことを清水先生に質問した。

 昭和12年、サクラクレパスはプロの画家用のクレパスを開発した。ところが、現代まで続くロングセラーにはならなかった。なぜ? 清水先生は静かに語りはじめた。

クレパス画を描こう 道具でスケッチブックに傷をつけ、クレパスをふき取ることで描くこともできる
クレパス画を描こう 道具でスケッチブックに傷をつけ、クレパスをふき取ることで描くこともできる
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 「当時は画家といえば多くが油絵を志していたの。とはいえ、油絵の道具は舶来で高かった。そうしている間に世の中は戦争に向かっていった。物資が不足し油絵の道具なんて手に入らない。そこで画家たちは、油絵のように重ね塗りや削ったり、盛り上げたりできるクレパスを用いて絵を描いた」

 多くの画家、巨匠といわれる人たちがクレパス画の魅力にはまった。岡本太郎、梅原龍三郎、小磯良平、熊谷守一…。戦争が終わってもクレパス画を描く画家は大勢いた。

 「でも、絵が売れなかったの。どんなにいい作品を描いても、画商に持っていくと『クレパス画だろ』って…」

 それってクレパス画が「子供が描く絵」だからってことですか。

 「そう、油絵の10分の1の値段しかつかない。それでは画家は食べていけないでしょう」

 プロ用のクレパスがロングセラーにならなかった裏には、こんな事情があったのだ。

 しかし、魅力あるクレパス画がたくさん残されているのも事実。巨匠たちの作品を見れば、大いなるインスピレーションを得られるかもしれない。

 サクラクレパスは、5月29日に創業100周年を迎えるにあたり、記念限定商品を次々と発表している。

 5月下旬からは「クレパス」や「クレヨン」「クーピーペンシル」など代表的な商品をモチーフにしたメモパッドやマスキングテープ、ふせん、エコバッグなどの雑貨全21種類を発売する。同社広報は「クレパスやクーピーなどのパッケージデザインを雑貨商品に取り入れました。これまで商品を使ってくださった方に親しみやすさや懐かしさを感じてもらえるのでは」という。

 また、「クレパス太巻50色セット アニバーサリー」も数量限定で販売開始する。パッケージは限定デザインで、世界の美しい動物を描いている。

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